2022-12-19 ライフ

ネットゼロ政策に対する認識・理解度の調査

注目ポイント

菅元総理は2020年10月の所信表明演説で、2050年までに「ネットゼロ(カーボンニュートラル)」を目指すことを宣言した。ネットゼロとは二酸化炭素などの排出量から吸収量と除去量を差し引いた合計をゼロにするというもので、政府や企業がその実現のために様々な施策を打ち出している。今回は日本のネットユーザーがネットゼロ に関してどれくらい認識し、理解しているかを調査した。

この記事はEngagement labの許可を得て掲載しています,元記事のリンクはこちらです。


マーケティングコミュニケーションを最も効果的に行うことを目的に日本のWEB人口を4つのセグメントに分類した。社会情勢やトレンドに常に敏感な「オピニオンリーダー」4.2%、トレンドの主要なプロモーターである「アンプリファイアー」4.6%、一般市民の「フォローワー」が最多で68.8%、新しいトレンドに鈍感でニュースをあまりチェックしない「ラガード」22.3%の4つである。

ネットゼロの理解と関心

カーボンニュートラルまたはネットゼロという言葉を聞いたことがあるかどうかという質問に対して、詳しく知っているかどうかにかかわらず聞いたことがある、と答えた人はオピニオンリーダーで77.2%、アンプリファイアー70.8%、フォローワー69.9%、ラガード46.7%となっているが、詳しく知っている人はオピニオンリーダーでもわずか33%しかなく、理解が進んでいるとは言えない。ただ、興味があるかないかについては、オピニオンリーダーの55.5%があると答えたのに対してラガードは60.2%が興味を示していない。フォローワーも約半数が興味を示していないことがわかった。


しかしネットゼロの重要性についての認識調査では、重要ではないと認識しているがすべてのセグメントが1割強で、セグメント間に大差はないが、重要であると認識している割合はオピニオンリーダーが68.9%で、ラガードの23.9%を大きく引き離した形になっている。ネットゼロの重要性認識に関しては、アンプリファイアーもフォローワーも半分弱が重要性を認識している。

 

ネットゼロのメリット・デメリットに関する賛同レベル

ネットゼロから得られるメリットのうち最も賛同が多かったのは「地球温暖化を抑制し環境や生物が守れる」という項目で39.4%が賛同している。次いで「次の世代に有益」38.4%、「生存環境の維持」37.9%の順で、自分の世代や次の世代が安心して生活できる地球環境を守ることに多くの人が賛同していることがわかる。一方デメリットについては「一般市民の生活コストが高くなる」が最多の18.3%、次いで「電力不足や不安定な電力供給」の16.2%という結果が出た。

これをセグメント別に見ると、アンプリファイアー、フォローワー、ラガードのベスト3は全世代調査の結果と同様で「地球温暖化の抑制と環境保護」、「次世代にとって有益である」、「我々の世代の環境維持」となっているが、オピニオンリーダーは「次世代にとって有益」以外に「企業経営のコスト負担」と「目標を達成する技術がない」が入っており、どちらかというと企業経営者かカーボンニュートラル政策推進者の立場の視点を持っていると思われる。その反面、ラガードは国際関係の記述や投資視点の記述において他のセグメントと比較して全項目で低くなっている。
 

2050ネットゼロ実現のための重要施策

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