2022-11-29 政治・国際

台湾・統一地方選「民進党大敗の構造は10月末に固まっていた」

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注目ポイント

中国が圧力を強める中で行われた台湾の統一地方選は、与党・民進党が記録的な大敗を喫し、蔡英文総統は責任を負って党主席(党首)を辞任した。だが総統選や、国会議員に相当する立法委員選とは違い、外交・安全保障問題は争点とはならず、経済政策など内政面で課題山積の与党に対し、各地の有権者が「ノー」を突き付けたかっこうだ。台湾の選挙に詳しい東京外大教授、小笠原欣幸氏が今回の台湾・統一地方選を総括した。

今回の選挙中に「民進党に投票しなければ民主主義ではない」という議論が一部ででていたが、それは「共産党を愛さなければ中国を愛することにならない」というのと同じ議論である。民進党がそういう考え方にこり固まれば、それこそ本当に政権交代を招くであろう。

 

評価されるべき台湾の安定ぶり

台湾の有権者の意識は多元的だ。民進党政権に期待する人も、終わらせたいと願っている人も、民進党政権が継続しそうだという前提で今回牽制しておこうと思った人もいる。それらが総合して民進党の敗北という結果になった。台湾で健全な民主主義が定着していることを改めて示したといえる。中国に統一されればそれが奪われるわけで,「それはいやだ」とほとんどの台湾人は思っている。

民主主義がスローガンではなく日常的に機能していることが台湾の強みだ。中国の圧力が強まる中でも、冷静に平然と政権与党にお灸をすえる投票行動ができる台湾の安定ぶりを国際社会は評価すべきだ。

 

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