注目ポイント
次期総統選の行方を占う統一地方選が26日、投開票された。与党・民進党が手にした首長ポストは5県市にとどまったのに対し、13県市と躍進した最大野党・国民党。二大政党は2024年の総統選をにらみ、候補者の調整を本格化させるとみられる。また、第三勢力として柯文哲(かぶんてつ)台北市長も出馬に意欲を示している。

(台北中央社)次期総統選の行方を占う統一地方選が26日、投開票された。与党・民進党が手にした首長ポストは5県市にとどまったのに対し、13県市と躍進した最大野党・国民党。二大政党は2024年の総統選をにらみ、候補者の調整を本格化させるとみられる。また、第三勢力として柯文哲(かぶんてつ)台北市長も出馬に意欲を示している。
▽政権を維持したい民進党、頼副総統が有力候補

独立でも統一でもない「現状維持」を掲げる蔡英文(さいえいぶん)政権。党関係者は、国際社会が次のリーダーに期待することは、蔡政権の路線の継承だと話す。
次期総統の候補として名高いのは、頼清徳(らいせいとく)副総統だ。台南市長、行政院長(首相)などを務めてきた頼氏。ベテランとして培ってきたパワーと人脈に加え、今回の選挙戦では、各地を精力的に回り候補者の支援に力を注いだ。地方との距離も縮め、着実に支持を固めつつある。
目下の課題は、党勢回復だ。劣勢はある程度予測できていたものの、党内には動揺の色が漂う。党関係者は「落ち込んでいる時間はない」と指摘。まずは党内の落ち着きを待ってから、党主席(党首)の選出などに着手する見通しだ。
▽自信つけた国民党党首、首長選圧勝の新北市長推す声も

8年ぶりの政権奪還を狙う国民党は、今回の勝利で弾みがついた。党を率いる朱立倫(しゅりつりん)党主席(党首)は、次期総統選参戦に向け自信を深めたはずだ。
一方、党内では侯友宜(こうゆうぎ)新北市長を推す声も根強い。再選を目指した今回の市長選では、民進党の林佳龍(りんかりゅう)前交通部長(交通相)相手に大差で勝利した。

ただ、対中融和路線の国民党には「親中」のイメージがついて回り、支持の回復には路線転換が求められる。総統選の候補擁立を巡る党内の対立も、同党は避けたい考えだ。
▽第三勢力「台湾民衆党」、勢力拡大なるか
14年の統一地方選で「政治素人」として頭角を現し、歴史的な勝利を遂げた柯台北市長。2期目の任期が近づく中、次期総統選に向けた動向に注目が集まっている。

19年に第三勢力として立ち上げた台湾民衆党は、支援していた候補が台北市長選に落選したが、新竹市長の座を手にし、県議・市議には14人が当選した。
二大政党の間で、いかに勢力を伸ばすかが鍵となる。民進党はかつて柯氏の当選を後押ししたが、すでに決別。国民党と手を組む可能性が指摘されているが、同党の立法委員(国会議員)は、柯氏が24年の選挙戦まで影響力を保てるか観察が必要だと指摘。連携するか決めるのはそれからだと語った。