2022-11-28 政治・国際

野党・国民党勝利も次期総統選に難題 大敗の民進党、政権維持目指す/台湾

注目ポイント

統一地方選は26日投開票され、最大野党・国民党が13県市の首長選で勝利を収め、与党・民進党は5県市にとどまった。だが、2024年の次期総統選で国民党が与党に返り咲くには難題が立ちはだかる。蔡英文(さいえいぶん)総統の2期目の任期が迫る民進党は、政権維持に向け目下の課題に取り組む。

野党・国民党勝利も次期総統選に難題 大敗の民進党、政権維持目指す/台湾

(台北中央社)統一地方選は26日投開票され、最大野党・国民党が13県市の首長選で勝利を収め、与党・民進党は5県市にとどまった。だが、2024年の次期総統選で国民党が与党に返り咲くには難題が立ちはだかる。蔡英文(さいえいぶん)総統の2期目の任期が迫る民進党は、政権維持に向け目下の課題に取り組む。

次期総統選の前哨戦と位置付けられる4年に1度の統一地方選。候補者の死去で延期となった嘉義市を除く21県市で首長や議員が選ばれた。

前回の統一地方選でも大勝した国民党が優勢を保った。多くの県市で現職が再選を果たした他、台北市や桃園市、基隆市で勝利。勢いをつけ次期総統選で政権奪還を狙うが、「親中」のイメージを払拭できるかが問われる。

国家の指導者を選ぶ総統選は統一地方選と焦点が異なる。国民党は対中融和路線を掲げてきたが、今年6月に訪米した朱立倫(しゅりつりん)党主席(党首)は「世間の親中というレッテルは誤り」だと訴え、米国重視をアピール。日本との関係も深化させたい考えで、路線転換に力を注ぐ。

一方、現有7県市の首長ポストを維持できなかった民進党。同党の立法委員(国会議員)は、現政権に対する満足度は一定の高さを保っているものの、不満も少なくないと指摘。新型コロナウイルス対策の失策や経済への打撃など、国民党から厳しい批判にさらされ、「民進党に教訓を」というムードが選挙結果に反映されたと分析する。

現政権を担う民進党は、複雑な国際情勢や対中関係にどう対処するかが政権維持に向けた鍵となる。党関係者は、蔡政権の支持率が比較的安定していることに触れた上で、残りの任期における最重要任務を2つ挙げた。インド太平洋地域における台湾の政治的重要性を確保させることと、世界的なサプライチェーン(供給網)で必要不可欠とされる台湾の役割の確立だという。

これらの「必要とされる」二大要素こそが、今後20~30年の未来で台湾の国際的な地位を築くことにつながるとこの関係者は説明。台湾を世界で一定の影響力を持つ「ミドルパワー」にすることが、蔡総統の責任であり使命だと話した。

(劉冠廷、王承中、温貴香/編集:楊千慧)

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