注目ポイント
4年に1度行われる台湾の統一地方選「九合一選挙」が明日の26日に迫りました。2024年の総統選の前哨戦にも位置づけられている選挙について、図表とともに解説します。
そもそも何の選挙?

4年に1度行われる統一地方選挙で「九合一選挙」と呼ばれています。その由来は、上図のように直轄市長をはじめ、県市長、直轄市議員、県市議員、郷鎮市長、郷鎮市民代表、村里長、山地原住民区長及び区民代表の9つを同時に選出するから(嘉義市長選は候補者1名の死去により来月18日に延期)。有権者が交付される投票用紙は、居住地に応じてその数が異なり、例えば、第一級行政区の6直轄市(台北市、桃園市、新竹市、台中市、台南市、高雄市)と第二級行政区の3省轄市(嘉義市、新北市、基隆市)の有権者は、市長、市議員、里長を選出するため3枚の投票用紙が交付されます。一方、13県の有権者は、県長、県議員、郷鎮市長、郷鎮市民代表、村長の投票を行うため、投票用紙は5枚。直轄市の山地原住民区域の戸籍保持者は、市長、市議員、里長のほか、区長、区民代表の投票権もあります。
どうやって投票する?

有権者は「投票三寶」と呼ばれる必須アイテム=国民身分証(IDカード)、印鑑、投票通知書を手に投票所へ。会場に入ったら本人確認、投票用紙の交付、投票箱に投票――といったプロセスは日本の選挙とそっくりですが、投票用紙に候補者の名前を記入するのではなく、候補者の番号や名前が印字された投票用紙に専用のスタンプを捺すのが台湾流。そのため、候補者が多ければ多いほど投票用紙の長さが伸びていくのも日本との大きな違いです。
県市議会議長の所属政党は?

九合一選挙が終わると、新たに選出された県市議員による新議長選出の投票が行われます。上図は2000年代以降に選出された県市議会議長の所属政党を示したもの。ほとんどが国民党か無所属で、民進党所属の県市議長は非常に少ないことがわかります。
注目の県市長選、所属政党の変化は?

九合一選挙の注目点は、計22ポストを争う県市長選。上図のように、選出された首長の所属政党で各地域が色付けされ、その染まり具合で「◯◯党の圧勝」などと報道されるのがおなじみの光景です。日本と違って国の代表を直接選挙で決める台湾では、県市長選の結果が2年後の総統選にも影響を与えるとされています。2000年代以降の地方選で選出された県市長の所属政党を見ると(上図)、民進党・陳水扁政権2期目に行われた2005-2006年の選挙では国民党が盛り返し、その後、身内や側近の不祥事が相次いだ陳政権の人気は急落。「倒扁運動」が起こり、2008年には国民党・馬英九政権が誕生しました。
馬政権1期目の2009-2010年の選挙では、国民党が民進党より多くのポストを得たものの、馬政権2期目の2014年に実施された初めての統一地方選では、同年春に起きた「ひまわり運動」の影響もあって国民党は大敗。15ポストから6ポストに減少し、最大野党・民進党が6ポストから13ポストに躍進しました。