2022-11-25 政治・国際

新型コロナ感染再拡大の中国で暴動相次ぐ 「ゼロコロナ」政策脱却は今後6~9か月か

注目ポイント

中国・鄭州市にある世界最大のiPhone工場で、労働者による抗議行動が暴動に発展した。インターネットで拡散された映像には、数百人ものがデモをする様子や、白い防護服を着た警察隊から殴る蹴るの暴行を受ける従業員の様子も映っていた。きっかけは新型コロナウイルス対策だという。一体何が起きたのか―。

暴動が起きたのは米アップルのサプライヤーである台湾・鴻海精密工業の中国・河南省鄭州工場。抗議活動は23日未明から始まった。きっかけはコロナ感染対策への不満と未払い賃金に対する抗議だったという。暴動では複数の従業員が負傷し、秩序回復のため警察が同日現場に入ったという。

その様子は中国のケータイ動画共有アプリ「快手」でライブ配信され、映像はインターネットで拡散された。中には、白い防護服の警察隊数人が、地面に横たわっている1人を棒で殴ったり、パトカーを取り囲んだ数人の労働者が、大声で叫びながら車両を揺らす様子を映した動画もあった。また、労働者が棒を振り回して監視カメラや窓を破壊する姿もとらえていた。

さらに、数十人の労働者が警官隊やライトを点灯した警察車両とにらみ合い、「われわれの権利を守れ」と連呼したり、従業員の1人が金属製のバリケードを引きずる様子や、「突入してくる。 煙幕だ。催涙弾だ」といった配信者の生々しい声も記録されていた。

鴻海側は声明で、支払い契約を履行したと表明。敷地内でコロナに感染した従業員と新入社員が一緒に生活していると報じられた内容については「事実でない」と否定。「いかなる暴力行為に関しても、当社は従業員や政府と連絡を取り合い、再発防止に努める」とした。

ロイター通信は、同工場では、厳しいコロナ対策を巡って一部従業員が逃げ出すなど、ここ数週間混乱が続いていたと伝えた。

実は先週もコロナ対策をめぐり、暴動が起きていた。英BBCによると、中国南部の工業都市・広州では14日夜、コロナ対策の厳しい規制に住民らが怒りを爆発させ、一部は集団でロックダウンを無視して警察と衝突する騒ぎが勃発した。

映像では、住民が警察車両をひっくり返したり、感染拡大防止のために設置されたフェンスを破壊したりしている。この地域には現在、機動隊が出動している。

広州の感染拡大はこれまでで最悪の状況になり、同市海珠区では住民の自宅待機が指示され、緊張が高まっていた。BBCによると、同区には貧しい行商人らが多く住み、仕事に出られないと収入が得られないことや、規制下の生活で食料が不足して物価が高騰していることへの不満を訴えていた。

米CNBCは「コロナ感染が急増する中国は、もはや後には引けない」とする見出しで現状を報道。ここ数日間で中国の新規感染者は1日3万人を超え、4月に上海で実施された都市封鎖(ロックダウン)の時期と同規模となっているという。

豪マッコリ―銀行のチーフ中国エコノミスト、ラリー・フー氏は、「中国はすでに後戻りできない状況なのかも知れない。上海でのロックダウンのような措置を取らない限り、『ゼロコロナ』政策は実現できないだろう」と指摘する。

CNBCによると、中国で最新の感染拡大は北京や広州など、同国の大都市圏で急拡大。そのため、それらの都市の行政側当局は今月になって経済活動や社会行動を制限している。

そんな中、フー氏は、中国政府の姿勢やプロパガンダに少し変化が見られるとし、今後6~9か月で市場を完全に再開する準備をしていると予測。しかし、それまでには「紆余曲折が予想される」と述べた。

ここ数週間にわたり、市場は中国が「ゼロコロナ」から脱却し、完全再開に移行する時期について憶測を呼んでいる。

野村のチーフ中国エコノミスト、ティン・ルー氏によると、今週初めの時点で、GDPベースで中国経済のほぼ20%がコロナ規制により悪影響を受けており、上海が都市封鎖中の4月中旬に記録された21・2%の最高値に近いという。

都市封鎖による中国経済へのダメージが深刻さを増す中、「ゼロコロナ」政策が失敗に終わることはもはや明白で、市場再開以外、習近平政権に選択肢がないのも事実だ。

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