2022-11-24 政治・国際

中東初サッカーW杯開催国めぐる人権問題 米FOXスポーツはカタール絶賛で批判続出

© Photo Credit: AP / 達志影像

注目ポイント

中東初のサッカーワールドカップ(W杯)となるカタール大会が20日、ついに開幕した。23日には日本代表が初戦でW杯優勝4度のドイツ相手に2‐1の劇的な逆転勝利をもぎ取り、前日にはサウジアラビアも、メッシ率いる優勝候補アルゼンチンを2‐1で撃破するなど、いきなりの大盛り上がりとなっている。そんな中、米FOXスポーツの開会式報道が波紋を呼んでいる。

英紙ガーディアンによると、開催国カタールの人権問題には何も触れず、W杯の開会式を中継した米FOXスポーツに批判が集まっているという。

同紙は昨年、カタール大会が決定して以来、W杯のスタジアム建設に携わった6500人もの外国人労働者が、非人道的な扱いにより死亡したと伝えた。さらに、W杯入札における不正疑惑も浮上。加えて、LGBTQ と女性の権利などをめぐっても欧米メディアから厳しい批判にさらされている。

開会式では米俳優モーガン・フリーマンやBTSのジョン・グクが出演し、豪華な演出で会場は大いに盛り上がる中、英BBCやスペイン語放送局テレムンドなど多くのメディアは、主催国の社会問題をより大きくクローズアップした。

それとは対照的に、FOXスポーツは、ドーハにあるメーンスタジアム「アル・バイト・スタジアム」の贅を尽くした空調設備から、ファンが利用できるさまざまな食事、さらにはカタールW杯組織委員会のハッサン・アルタワディ事務総長の〝おもてなし具合〟まで、全てを称賛した。

ガーディアン紙によると、アルタワディ氏はインタビュアーを務めた同局のジェニー・タフト記者から、人権団体らが提起したカタールの問題点ついて質問されることもなく、今大会のすばらしさについて熱烈な言葉で宣伝するだけという〝提灯報道〟となった。

米人気スポーツポッドキャスト番組「メン・イン・ブレザー」の共同ホストでインフルエンサーのロジャー・ベネット氏は、BBCの報道映像の一部をツイッターで紹介し、「BBCはこうやってW杯2022の開幕を報じた。米国のFOXの報道とはえらい違いだ。今大会は、まさにこう文脈化されるべきだ」とツイートした。

米国で最も著名なサッカージャーナリスト、グラント・ウォールもBBC の初日の報道映像へのリンクを貼り、「FOXスポーツによるカタール寄りの米国での報道と、英国の国民側に立った報道の大きな違いだ」とツイートした。

ガーディアン紙によると、ツイッターユーザーはFOXスポーツに「プロパガンダもほどほどに」や、「カタールのためのガセネタ垂れ流しは止めろ」などと反発する多くのツイートが拡散した。

だが、W杯に向け、FOXの総合プロデューサー、デイビッド・ニール氏は、視聴者が大会期間中にピッチの外で起きている問題で、気持ちの高ぶりをそがれることを望んでいるとは思わないと反論。「私たちは、視聴者がW杯を見るためだけにFOXスポーツを選択すると考えている」と述べた。

ちなみに、国営航空会社カタール航空は、FOXによるW杯報道の主要スポンサーだ。

対照的に、同じ米国でもW杯のスペイン語放映権を所有するテレムンドは、FOXスポーツより厳格な方針を取ると明言した。「私たちは自分たちが残した問題について話さなければならないと思す。大会終了まで、発生する可能性のある地政学的な問題を無視することはない」とテレムンドのレイ・ウォーレン社長は主張した。

W杯米国代表はチームの見解について、ガーディアン紙は、「微妙ではあるが印象的なメッセージ」を送ったと伝えた。同性愛や同性間の性行為が法律で禁じられているカタールに到着後、チームのトレーニング施設で、虹色を使って「USA」とデザインされた、ひときわ目立つチームのロゴを掲げた。明らかにLGBTQを支持する「レインボーフラッグ」を取り入れたものだ。

米国代表のヘッドコーチ、グレッグ・バーホルター氏は、「社会問題に注意を向けたいと考えるのは米国だけではない」とし、「カタールが進歩し、その進歩は大きなものだったことは認識しているが、まだやるべきことがいくつかある」と述べた。

そんな中、フランス・サッカー1部パリ・サンジェルマンのナセル・アルケライフィ会長は、同氏に母国カタールに対する批判報道に反発。アルケライフィ氏は英ラジオ局「トーク・スポーツ」にカタールが完璧な国ではないと認めた上で、「世界はカタールに対してとても不公平な態度を取っている。メディアは本当に否定的だ。もちろん我々は完璧ではないが、ベストを尽くしている」と不満をあらわにした。



 

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