2022-11-23 政治・国際

選挙は残酷、台北市政府の8万人の職員に信頼と協力の組織文化を再構築させたい~台北市長選に挑む陳時中氏の独占インタビュー~

© 關鍵評論網/范瀞文

注目ポイント

26日に迫った統一地方選挙で台北市長選に出馬する与党・民進党の陳時中候補は、まず信頼感のあるチーム作りを目指したいと言った。 8万人が一緒に何かをするのと同じように、自分一人では何もできないから、みんなが心の中で覚悟を決めれば、それが大事なことだと考えている。

 

【インタビュー:楊士範、ライター:李秉芳】

 

台北市長選挙まで1週間を切った。 他県に比べ青緑白の「知事のトライアングル」は特に白熱した戦いが繰り広げられ、緊張感が漂っている。陳時中氏は2年間、毎日防疫記者会見に登場した指揮官から、台北市の候補者になった。これまで選挙とは無縁だった陳氏が、立候補して自分の身分が変わったことをどう感じているのか。 台北市政府の指導体制をどのように再構築していくのか、その信念は?

多忙なスケジュールをこなしながら、スタッフに付き添われ「Drink With Mario」の収録スタジオを訪れた陳氏は、普段、選挙活動で着ているスーツではなく、この番組のカジュアルな雰囲気に合わせ「指揮官」時代に着ていた白いシャツを着て登場した。 インタビューでは、政治的な見解を台湾語と中国語を交え語った。黄珊珊氏のような自治体の実務経験も、蒋萬安氏のような台北市の地方代表としての経験もなく、すべてが新鮮に映ったが、陳氏は行政官としてリーダーシップを発揮してきた経験に自信を持っているようだった。 過去5年間、行政院衛生署や指揮官としてやってきたように、台北の8万人の公務員が全面的に信頼できる文化を再構築したいと言うのである。


Q: なぜ、台北市長選に出馬しようと思ったのですか? 今の台北をどう見ていますか?

A:私は台北人です。ずっと台北で育ってきました。 台北には、ポテンシャルがあるはずなのに、ちょっと自信がない若者がいると思うんです。

台湾のGDP(1人当たり平均)は36000米ドルを超えることが分かっています。 これだけインフラや条件が整っているにもかかわらず、台北はここ数年、特別な準備をしていないようです。 ルーティンなことを除けば、この3、4年、都市再生にしても、以前のゼロカーボンにしても、熱心に議論していたのに、市政は革新的なことをしなくなったような気がします。 新型コロナウイルスの流行のせいだとも言われます。確かに不便ではありますが、景気が回復してきたら早めに準備をすればよかったと思います。台北市はその点、比較的準備が進んでいないように見受けられます。

今の市政はリーダーシップが崩壊しているようで、とても残念に感じます。 以前、台北歯科医師会の会長をしていたときに、市政といろいろなやりとりがありましたが、スタッフはかなり優秀でした。 その能力が発揮されないよう思い、指導体制が整っていないのは残念なことだと思います。 これも、自分の人生の中で取り組めることの1つだと考えています。


Q:あなたが当選すれば、24年ぶりに民進党が首都圏の政権を奪還することとなります。どのように中央政府の資源を整理、統合し台北をより良くすることができるとお考えですか?

A:まず1つ目は、交通機関の整備です。実は台北はとても内向的です。 例えば、前瞻基礎建築計画では、台北がなかなか企画を出そうとしないことがわかりました。前瞻基礎建設計画 に交通プロジェクトがあったのですが、台北はほとんど触れなかったので、スピードアップして戦ったらどうかと思ったのです。 しかし、その後、衛生福利部の遠景写真プロジェクトなど、どのプロジェクトも台北からあまり応募がないことがわかりました。 そのため、以前は中央政府から台北への補助金が比較的少なく、台北は資金調達のためにあまり戦おうとしなかったので、私は意外に思いましたが、実は昔からそうだったのです。

では、私にできることは何かというと、もちろん交通プロジェクト以外のことです。 社会福祉や介護のために、公民館や入所施設などの公有地を解放できないか考えてみたい。 これは私のポリシーの中でも非常に重要な部分です。公有地は「都市再生の担い手」として、産業復興や地域再生に公的資金のメリットをもたらすべきものであります。


Q:チームの人材はどのように見つけていますか?そしてどのように自分のしたいことを実現させていますか?

A:やはり、市政は当選してから再編成するものではなく、すでに8万人の公務員がいて、みな経験も豊富です。長い間、各局・部の業務をこなしてきました。僕はその中から良いトップを探すだけです。 彼らは、もともと優秀な仕事人です。 こうした局や部のトップが部下をよく理解し、責任と信頼を与えれば、おおむねうまくいくと思うんです。 私はもちろん、これから起こること、自治体のビジョンがあり、それを実現するためにみんなで力を合わせていくのです。

なかなかそうはいかないと思いますが、政務官の決め手となるところです。 人をよく知ることが大切だと思います。 ここ数年、台北市政府の局長が何人も入れ替わっているのを見れば、とても難しいことだと思います。



Q:もし当選したら、まず第1段階として何をしたいですか?

A:この質問をする人が多いのは、柯市長が就任してすぐにバスレーンを取り壊し、皆様がすぐに実感したからでしょう(笑)。 私はそういうことはなかなかできないですし、今は比較的そういったことは少ないですね。 しかし、まずはもちろん、市の職員や上司を組織としてまとめたいので、就任後に全職員に手紙を書いて、新しいボスの姿勢や考えを伝え、信頼を得て、組織の文化の再構築に着手するつもりです。 これが一番大切なことだと思います。 私1人がいろいろなことをするよりも、8万人が一緒に何かをする方が大事で、みんなが何かをする覚悟を持つことが、とても大事なことです。

それから、先ほども言いましたが、本当は信維市場整宅全体を整備したいというのが、さらに重要なポイントです。 台北市内にまだこんな場所があるんだと、見に行ったときに感じたので、最初は以前の市長の郝龍斌がこれの建て直しを目標に掲げたんです。でもそれはまだそこにあって、みんな苦しんでいるんです。 こういうことがうまくできれば、何かを達成したことになり、市長としての意義も出てくると思うのです。

震災後の都市政策の見直し、都市再生は恵まれない人々の窮状を解決する唯一の方法ではなく、都市再生を構築し維持するための方法です。


Q:組織の文化を再構築したいとおっしゃいましたが、どのようなチーム文化を作りたいとお考えですか?

A:信頼されるチームを作れたと思う。 この5年間で衛生署が制定した法律は8本、改正した法律は90本、条文は332条であることはご存じだと思います。 実際、立法院では法律の改正に非常に消極的で、20本の法律を改正するのは非常に困難です。 立法院では、法律を改正するためにコミュニケーションを取らなければならないとき、たいていそんなに(台湾語で)「早く」ならないんですよ(笑)。

みんなで協力するからこそ、これだけ多くの法律を改正できるのです。 例えば、少子化政策では、私が入った当初は151億(台湾ドル)だった予算が今は800億以上、長期政策では、当初は40億だった予算が今は600億以上で、実施率も非常にいい。 また、社会的セーフティーネットの第1段階は68億で成功し、第2段階は407億を目指しています。

「お金の使い方を知っている」とは言いませんが、別の見方をすれば、私たちの仲間は、予算の取り合いになるような企画を提案することもいとわないのです。 実は、お金をかければかけるほど仕事が増えるので、ほとんどの政府機関はやりたがらないのです。 公務員の場合、給料は決まっているし、物事がうまくいかないと叱られる。

しかし、衛生署は資源や予算の奪い合いもいとわず、法律を改正し、それを実行するための計画を立て、自治体とのコミュニケーションにも力を注いでいます。 なぜなら、彼らはこのプロジェクトにとても期待し、私に大きな信頼を寄せてくれているからです。 一心同体でやると決めたことは、絶対に部下に(責任を)転嫁しないんです。

私は、台北市政府が公務員としての熱意と努力、それから最高経営責任者への信頼を取り戻すことができるよう、この文化を築きたいと思います。 そうすれば、最高責任者は喜んで彼らと一緒に仕事をし、誇り高い公務員になることができると考えています。

大切なのは、どのように信頼関係を築けるかということ。私は常に協調的な姿勢で信頼関係を築いています。まず手を差し伸べ、相手に信頼してもらう。そして協力し合う。そうして築き上げた信頼関係は大きな力となるのです。


Q:厚生省次長から厚生大臣まで、行政官として8年以上のご経験をお持ちですが、公職選挙のご経験はないようですね。選挙から今まで何か収穫はありましたか?

A:選挙そのものが、かなり残酷なものだと思いますし、そうした残酷さ、非情さを体験することで、投票の重要性が理解されるのではないでしょうか。 つまり、こういうテストを経て、市長になったときに政治の状況がより鮮明に見えてきて、それが市の方向性につながるはずです。 でも、確かにプレッシャーはありますし、こういう経験や訓練をしていかないといけないんだろうなと思います。

もちろん選挙には、辛く大変なこともありますし、感動する一面もあります。先日、市場に遊説に行ったら、1人の女性が私をつかんで「ありがとう」と言ってきました。二言三言ほど話して涙を流していました。有権者の熱意を感じました。 最前線で有権者と接し、その期待を感じることができるのも、なかなか奥深いものがあります。


Q:前職の公務員時代から今回の選挙戦まで、政治に対する意識は変わりましたか?

A:大きく2つのターニングポイントがありました。1つは、私の人生観に大きな影響を与えた防疫期間。もう1つが選挙の時です。先に選挙の話をしましょう。 まだ時間が経っていないし、最終的にどうなるかは分からないので…。短期的に見ると、以前は利他的な視点で物事を行い、人に良い思いをさせて、それが良いフィードバックになり、良い循環になると信じていたような気がするのです。 1年経ってから話す方が正確かもしれませんね。

そして、防疫の時は、一番大変な時に一番いい友達ができたと思います。もちろん、プレッシャーもあって、とても大変だったと思います。みんながどのようにお互いを励まし合ったのか、それはみんなが同じ船に乗っている勇士のような感覚です。 いろいろなことがありましたが、私たちはとても誇らしく思いました。 実際、世界で評価されるなら、私たちは本当によくやっていると思います。 当時は「防疫五月天」と呼ばれていました。年齢も経歴もバラバラで、ただ一緒にやり遂げたのです。 指揮官を離れてからも、よく会って食事やおしゃべりをしたり、いろいろなことを笑い合って。それが一つの精神的に強い力になっています。


Q:疫病指揮官に就任し、今回、選挙に出馬することになってから、どのようにプレッシャーに対処してきたのでしょうか? 続けてこられた理由は? 今回の選挙戦の世論調査や批判について、どのようにお感じになりますか?

A:いつまで続くかは考えず、毎日機嫌よく過ごすことを心がけています。どうしても思いつかないときは、まず寝て、それから考えるようにしています。 自分がしっかりしないと、チームの士気にも影響するし、地域全体にも影響すると思うんです。

また、冷静でいること。仕事に対して柔軟に対応しないと。そして、共感することが大切なのでしょう。

もちろん、選挙期間中の批判を無視することはできないですが、私にとっては1日の出来事です。そこにエネルギーを費やすのも負担となります。 リーダーである自分が安定した気分でないと、チームも不安定になり、判断にも影響が出るので、あまり影響を受けないように心がけています。


 

あわせて読みたい