2022-11-22 経済

台湾統一地方選挙2022―これはコンサートか決起集会か―

© Photo Credit: Reuters /達志影像

注目ポイント

11月26日、台湾では統一地方選挙が行われる。これは直轄市(6都市)の市長や市議会議員、県長(県知事に相当)、村長、市民代表など九つの地方公職選挙で、2年後に迫った次期大統領選挙の行方を占えるとも言われている。決起集会や街頭演説、ネガティブキャンペーン、選挙グッヅやポスターなど、白熱する選挙運動を紹介する。

似て非なるもの

日本と台湾の選挙活動は似ているところがある。運動期間・時間の制限もあるし、選挙カーに乗って自分の名前を連呼する候補者もいる。台湾にあって日本にないのは、スクーターにのぼりを立てて2~3台が縦に並んで町中を走り回ることと、ポスターの自由さ、配布物の多さであろう。ビルの壁、交差点の角、町や学校の掲示板など隙あらばどこにでも様々なサイズのポスターが貼ってある。ポスターには候補者の顔写真と名前はもちろんのこと、たいてい「搶救(たすけて)」とか「告急(SOS)」とか「衝刺(ラストスパート)」の文字が見える。

候補者のポスター
ビルの壁に貼られたポスター

日本では何年か前、女性議員がお祭りで顔写真と名前の入ったうちわを配って国会で問題になったことがあるが、台湾では郵便受けの入れられる大量のチラシを始め、帽子、ミネラルウォーター、ティッシュ、マスク、アルコール消毒スプレー、政党旗又は国旗、風船、うちわなど、結構いろいろな物がもらえる。決起集会で気勢を上げる(これを中国語で「造勢活動」という)ために配られるのは名前または政党名入りのスティックバルーン、旗、のぼり、夜ならペンライトなどである。まるでアイドルのコンサートである。候補者とスタッフはお揃いのベストを身につけている。

選挙グッズ
選挙グッズ
選挙グッズ

パレードと決起集会

投票日の1週間前の週末と直前の金曜日は市政府前広場や総統府前広場などで数万人規模の決起集会が大々的に行われる。投票日まであと一週間と迫った日曜日には与党民進党は台北市東区をパレードしたのち市政府前広場で数万人の支持者と一緒に気勢を上げた。最近の選挙ではこのような形の集会がメインだが、かつてはユニークな形で盛り上げようとした候補者もいた。現台北市長柯文哲(民衆党)は、市長当選後ではあるが、市政に耐えられる体力があることを証明するために自転車で台湾を縦断してみんなを驚かせた。民進党の王世堅は同党の蔡英文が大統領に当選したら海に飛び込んで祝うと約束し、実際台湾東部の蘭嶼島の防波堤から服を着たまま飛び込んでみせた。

国民党決起集会

決起集会の応援

これは日本もあまり違わないのだが、特に力を入れている選挙区の集会に党のトップや立法院議員(国会議員に相当)が応援に来ることがある。前述の民進党決起集会では台北市長候補陳時中を応援するために元副大統領陳建仁が応援に駆け付けステージでスピーチをした。そのあと民進党立法院議員が一人ずつ登場し、手を振って民衆に陳時中の支持を呼び掛けた。そして最後は各政党お決まりの掛け声「当選(台湾語の発音で「トンスヮン」という)!当選!当選!」を何度も何度も吶喊し、「市長になるのは誰だ?」「陳時中だ」と集まった支持者たちと何度も掛け合いを演じた。

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