2022-11-21 政治・国際

世界人口が80億人に 11年で10億人増 「嘆く必要なく、歓迎すべき」との研究者も

© Photo Credit: AP / 達志影像

注目ポイント

世界の人口が80億人に達した。地球の資源が枯渇することを危惧する専門家にとって、この大きな節目は、起こりうる災難の前兆だと見る。だが、米政治専門紙ザ・ヒルは、地球にとって「人口増加は大歓迎」だとする人口問題研究者の見解を紹介した。その根拠とは―。

米ナショナルジオグラフィックによると、世界の人口が10億人に達したのは1804年頃。地球上にホモ・サピエンスが登場してから数十万年後のことだった。ところが、2011年に70億人になってからわずか11年、国連は今年11月15日を「80億の日」と宣言した。

世界では同時に別々の場所で人口爆発と人口減少という正反対の現象に直面している。人口14億人の中国は、過去2000年間維持してきた人口世界1位の座を、今年中にもインドに明け渡そうとしている。実際、1980年に1人っ子政策を取り入れる前から、中国の出生率は減少し始めていたという見方もある。

米国のオカシオ・コルテス下院議員は2019年、「人類は今や地球1・75個分に相当する量の生態系資源を消費している」とし、「我々の子供たちの生活が非常に困難になるというのは、科学的コンセンサス」だとインスタグラムで発信した。そんな状況が事実なら、多くの若者たちは「これから子供を作って大丈夫なのか」という疑問が沸いて当然だ。

米コメディアンで政治評論家のビル・マー氏は、「気候変動問題の中で議論されていない重要な事実は、人が多すぎて、(資源を)使い過ぎていることだ」とし、人口過剰理論を単刀直入に要約した。

マー氏は、18世紀の英経済学者トーマス・マルサスが1798年に発表した有名な「人口論」を引用し、世界の人口が急上昇する一方、人口を養うために必要な資源は平坦な直線でしか伸びないと指摘。「人口論」は、人口増加が食糧増加を上回り、飢餓が間近に迫っているというものだ。

だが、米シンクタンク「ケイトー研究所」のグローバル・リバティ&プロスペリティ・センターで人口問題を分析する上級研究員のマリアン・L・トゥピー氏はザ・ヒルに寄稿。それよると、「人口論」が危惧したような状況は決して起きなかったと指摘。実際は、その反対が真実であることが判明し、増加する世界人口と人々の自由な発想により、人類史上比類のない繁栄と豊かさの時代が開かれたという。

1850年までさかのぼって、何百もの食料品、金属、鉱物、燃料の価格を分析したところ、時間の経過とともに人口増加が人類の革新を促進し、それが〝超豊富〟と呼ばれるほど、我々の生活を豊かにしてきたことが分かったという。

食料品、織物、建材などインフレに関する不快なニュースに接すると、これは直感的に逆だと思えるかもしれない。だが、物価とは単なる「比較」だと同氏は解説する。

⎯  続きを読む  ⎯

あわせて読みたい