2022-11-18 政治・国際

クレオパトラの墓につながる地下トンネルか 考古学者がエジプトの神殿の遺跡で発見

注目ポイント

失われたクレオパトラの墓を探し続けてきたドミニカ共和国の考古学者が、ついに発見への突破口となる可能性があるトンネルを発掘したことが発表された。一方、クレオパトラの偶像化された伝説に切り込んだ新刊本が先週発売され、話題を集めている。

エジプト観光・考古省は、ドミニカ共和国にあるサント・ドミンゴ自治大学の考古学者キャスリーン・マルティネス氏率いるチームが、地中海沿岸にあるエジプトの港湾都市アレクサンドリア近郊の遺跡で、深さ13メートルの地下にある全長1305メートルのトンネルを発掘したと発表した。

「今回の発掘では、3つの聖域をもつ巨大な宗教施設と、聖なる泉、1500点以上の遺物、胸像、彫像、黄金の断片、アレクサンダー大王とクレオパトラ女王およびプトレマイオスを描いた大量の硬貨が見つかった」とマルティネス氏はCNNに語った。

「最も興味深い発見は、地中海と沈んだ構造物につながる入り組んだトンネル群だった」とマルティネス氏は言う。2005年からクレオパトラの墓を探す研究を始めた同氏は、次の段階として、クレオパトラの墓が存在する可能性がある、この地下の構造物の調査に当たるという。

定説によると、共和政ローマの政治家・軍人だった恋人のマルクス・アントニウスが、紀元前30年に自分の腕の中で息を引き取ると、間もなくクレオパトラもコブラに自分をかませて後を追った。この説は、当時の絵画や文学にも描かれている。とろこが、2000年以上たった今も、2人が眠る場所についてはほとんど分かっていない。

CNNによると、マルティネス氏は、クレオパトラの墓がアレクサンドリアからほど近いタップ・オシリス・マグナ神殿の遺跡にあると推測。同神殿はエジプト北部沿岸の、ナイル川が地中海に注ぎ込む地点にある。

この説は2009年の発見も大きな根拠となっている。エジプト考古最高評議会は同年4月、タップ・オシリス・マグナ神殿跡を発掘中、クレオパトラの彫像の頭部、肖像が描かれたコイン20枚以上と、アントニウスの面が発見されたと発表。同評議会は、2人がこの場所に共に埋葬された可能性があるとの見解を示したのだ。

他にも理由がある。それはタップ・オシリス・マグナ神殿という名称そのものだ。当時、クレオパトラは「女神イシスが人間に生まれ変わった存在」とされ、アントニウスは「オシリス神の生まれ変わり」と考えられていたというのだ。クレオパトラはこの神話を反映した墓に夫を埋葬することを選んだ可能性があるとマルティネス氏は考えたのだ。

アレクサンドリア周辺で同氏が調べた20の神殿の中で、「タップ・オシリス・マグナ神殿ほど多くの条件を兼ね備えている場所はほかにない」と断言する。

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