2022-11-16 ライフ

卒業式では制服が大変なことに!? ここが違う、台湾の高校

© Photo Credit: Reuters /達志影像

注目ポイント

先月開催された台湾の建国記念日に当たる「双十節」の祝賀式典。「オレンジの悪魔」の異名で知られる京都橘高校吹奏楽部のパフォーマンスが注目を集め、台北市立第一女子高級中学と交流する様子も報道されました。教育制度や制服文化など日本と似ているところもある台湾の高校ですが、台湾ならではの違いも?

卒業式にはサインで制服が埋まる?

台湾の高校(高級中学)の多くも制服を採用しています。日本ではブレザーをはじめ、昔ながらの詰襟の学ランやセーラー服もポピュラーですが、年間を通じて温暖な気候の台湾では、日本でいう「夏服」のような半袖シャツやセーラーが主流。トップスはモノトーンだけでなく鮮やかな黄色やピンク色などさまざまで、名門で知られる台北市立第一女子高級中学の制服は「濃い緑色」であることから、同校の生徒は「小緑緑」(緑ちゃん)と呼ばれて親しまれているのもよく知られたところです。

制服といえば、学ランが全盛だったかつての日本では、卒業式で好きな人から第2ボタンをもらう文化がありましたが、台湾では制服にサインやメッセージを直接書き込むのがおなじみの光景。また、高校を卒業した大学生が1年に一度、高校時代の制服を着て大学に登校して1日を過ごす「制服の日」という習慣もあります。

映画「初戀風暴」オフィシャルサイトより

時代の変化であり方も多様化

そもそも台湾の制服文化は、日本統治時代に始まったもの。1904年開校の第一女子高級中学では、同校の生徒が日本人のみだった開校まもない頃から、海老茶色の袴を制服としていたようです。現在の台湾師範大学の前身・旧制台北高校(1922年開校)の生徒は、旧制高校らしく学ランに学生帽、マント、高下駄の格好で自由を謳歌。台湾屈指の進学校である台北市立建国高級中学の制服はカーキ色が特徴的ですが、これは戦時色が濃くなる1936年に、中等教育機関の制服が国防色=カーキ色の制服に改められたことがルーツです。

現在は性別に関係なく制服を選べる高校が日本各地で広がっているように、台湾でも制服のジェンダーレス化、自由化が進んでいます。2019年7月には新北市立板橋高級中学が台湾の高校としては初めて男子生徒にもスカートの着用を認め、台湾の文科省に当たる教育省も好意的に受け止めました。学校指定の制服ではなくジャージで登下校しても咎められることはなく、生徒の自主性を尊重している高校が多いことの表れといえそうです。

台北市立建国高級中学 Photo Credit: Reuters /達志影像

ランチが終わると静寂に包まれる?

台湾を訪れたことがあれば、早朝、制服やジャージ姿の高校生が路上の屋台で朝ごはんを食べたりテイクアウトしているところを見かけたことがあるのではないでしょうか。外食文化が発達している台湾では、家で朝ごはんを食べるよりも、登校途中や教室で朝ごはんを食べることが珍しくありません。

お昼ごはんは日本と同じように、食堂や給食、お弁当など高校によって選択肢はさまざまですが、肉や魚を食べないベジタリアンの家庭もあるため、素食用のメニューも用意されます。また、お弁当の場合は冷めたまま食べる日本と違って「温めて食べる」ことが台湾では当たり前。学校内にはお弁当を温める専用の蒸し器(蒸飯器)が用意されていて、お昼休みまでに時間をかけて温めます。お弁当を持参せず、手作りやテイクアウトのほかほかなお弁当を家族に届けてもらうことも珍しくありません。

台湾の高校では、お昼ごはんを食べたら各自の机に突っ伏して小一時間ほど昼寝をする習慣があります。小学校から行われているもので、風紀委員がきちんと昼寝をしているかチェックしている高校もあれば、好きなことをしても許される高校もありますが、しっかりと昼寝の時間を取れると午後の授業の集中力アップにも有益なはずです。

Photo Credit: Reuters /達志影像

学内に軍人、実銃訓練も!

台湾の高校を舞台にしたドラマや映画でよく見かける軍服姿の「教官」。いわゆる教諭と違い、軍部から派遣された現役の軍人が高校や大学の構内に駐留しているのも台湾ならではの光景です。

1950年代に多くの高校で始まった国防教育のために派遣された教官は、軍事訓練(軍訓)や生徒指導を担当し、戒厳令下の時代には政治的に不穏な動きをしている生徒がいないかを監視することも役割でした。ただし、戒厳令が解除された1987年以降は教育現場に軍人がいることの是非が問われるようになり、2023年には教官制度の廃止が決まっています。ちなみに軍訓自体は全民国防と名前を変えて現在も続けられていて、実銃の射撃体験もあります。平和教育は行われても、国防に関して触れられる機会はほとんどない日本との大きな違いです。

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