2022-11-11 政治・国際

英国トラス前首相のスピード辞任から台湾が参考にすべき場面とは

注目ポイント

10月1日の世論調査によると、トラスの支持率は18%しかなく、不支持率は55%に達し、差し引きで得られるマイナス37ポイントは、すでにジョンソン元首相が辞任して退陣したときよりも悪化していた。これに対して、トラスも一連の「ヘアピンカーブ」を行った...

圧倒的な圧力に直面したトラス政権は、10月3日、ついに軟化し、予定していた所得税の最高税率の引き下げを撤回すると発表した。しかし、それでもトラス氏は、これは政策のほんの一部に過ぎず、全体としてはまだ有効な戦略であると強調した。記者団から「自分の方針は正しかったのか」と質問されても、自分の間違いを認めようとしなかった。


米国の金利引き上げが台湾を動かす

富裕層減税の廃止に伴い、ポンドは下げ止まって一時的に新政策前の為替水準に戻り、英国債の金利もひとまず安定した。しかし、専門家によれば、英国政府の財政的信用は失墜したという。Saxo UKのシニアビジネストレーダー、マスターズ氏は「所得税の最高税率が引き下げられなくとも、ポンドの反発は英国の財政を助けるほど強くない」と分析した。

しかし、トラス氏が言ったように、国際環境は非常に厳しい。エネルギー価格の高騰とインフレに直面している国は、決してイギリスだけでなく、ほとんどの国がそうである。財経ニュースを専門とするTNL記者の荘貿捷氏は「アメリカもインフレの影響を受けたことにより、連邦準備制度理事会(FRB)は阻害要因として金利の引き上げを決定し、この決定が各国に影響を与えることになった」と話す。

米国連邦準備制度理事会(FRB)は、インフレに迅速に対処し、景気を冷え込ませるために、金利を引き上げることを決めた。

多くの人が「インフレに打撃を与え、経済が冷え込むのは、経済全体に良くないことではないのか?」と疑問に感じるだろうが、実際、短期的には影響があるが、長期的にはこの構造は経済の安定にとって良いと言える。

したがって、この金利上昇の理由は、多くの金融市場にある。何度も株式市場の嵐を感じてきた台湾と同じで、実はとても深いつながりがあるのだ。

アメリカは世界最大の経済国なので、台湾中央銀行は米国連邦準備制度に従って金利を引き上げざるを得なかった。その結果、一般消費者の衣食住や交通機関への支出に直ちに影響が出るわけではないものの、経済全体としては確実に低迷することになるだろう。

米国の金利上昇率が大きければ大きいほど、台湾の追随性も高くなる。金利の引き上げ幅が大きくなると、住宅ローンや自動車ローンなど、銀行の貸出コストが高くなり、こうした短期金利も高くなる。

借入コストが高くなると、金融市場での流動性が徐々に緩やかになり、連動して株式市場、債券市場、為替市場も同じように緩やかになっていく。そしてアメリカの市場に流れていくので、今の台湾の景気は低迷していると感じられる。

実際、人々の生活を安定させるために、政府も動き出している。日本では、エネルギーや食料の価格上昇に対処するための家計への現金補助が始まり、インドでは、新型コロナウィルスの流行開始以来、8億人に米や小麦の無料配布が定期的に行われており、総予算の9%を費やしてきた。イギリスの経済政策が手をこまねいていることのリスクの方が高すぎるかもしれない。しかし、新型コロナウィルスや戦争の影響を受け、世界各国はこの経済的混乱期をどう乗り切るかを考えなければならず、台湾も例外ではない。


 

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