開票日カウントダウン

選挙ページへ

2022-11-11 政治・国際

英国トラス前首相のスピード辞任から台湾が参考にすべき場面とは

注目ポイント

10月1日の世論調査によると、トラスの支持率は18%しかなく、不支持率は55%に達し、差し引きで得られるマイナス37ポイントは、すでにジョンソン元首相が辞任して退陣したときよりも悪化していた。これに対して、トラスも一連の「ヘアピンカーブ」を行った...

財務大臣は、1970年代以降で最大規模の減税策を発表した。これに金利上昇やエネルギー価格の高騰で避けられない政府債務の押し上げが加われば、4000億ポンドを超える非常に大きな負債となり、財政の均衡が保てなくなることが懸念されていた。

政府が発表したエネルギー法案の補足案は、低・中・高所得者に関わらず、家計に十分な支援を提供するものだが、発表された減税は高所得者層、特に上位の富裕層により焦点を当てたものになっていた。

イギリスのシンクタンク、レゾリューション財団の最高責任者 トーステン・ベル

英ポンドは下落し、国民の不満は高まる... トラスの厄介な政策ヘアピンカーブ

トラス氏と財務相の財政法案には、否定的な意見が殺到した。イギリスの財政の安定性に対する懸念は、直ちに為替市場に反映された。これを受けてポンドは対米ドルで急落し、一時は1ポンド=1.033米ドルの史上最低水準まで下落した。長年、世界のトップクラスの通貨であった英国ポンドにとって、米ドルとの等価交換は考えられない光景だった。

一般大衆にとって、英ポンドの価値が下がることは全ての輸入品の価格が高くなることを意味する。もともとロシア・ウクライナ戦争で値上がりした石油と天然ガス以外、イギリスでは46%の食料を輸入しているので食糧価格が高くなる。外国で製造された全ての携帯電話や自動車などの商品も同じだ。冬を目前に、社会的弱者は飢餓か凍結かの選択を迫られたのかもしれない「本当は値上げする勇気がない。今の客数は悪くないので、彼らを失いたくないが、毎日何かが値上がりして、どう乗り越えればいいのか分からない」とフィッシュ&チップス事業者は嘆いていた。

物が高価になるだけでなく、これらの商品が値上がりすると、イギリスが直面するインフレの圧力がさらに高まると予想され、イギリス中央銀行は金利を引き上げなければならない。これは不動産市場にも衝撃を与え、銀行は新規の住宅ローン発行を停止するか、既存の住宅ローンの金利を引き上げるなど、戦略の調整を余儀なくされ、国民は恐らく負担しきれなっただろう。

国民の不満は世論調査の数値にも反映されていた。10月1日の世論調査によると、トラス政権への満足度は18%しかなく、不満足度は55%に達し、差し引きで得られるマイナス37ポイントは、すでにジョンソン元首相が辞任して退陣したときよりも悪化していた。保守党の議員の中には、この提案に反対票を投じると公言している人もいたほどだ。トラス氏が保守党の党首に選ばれたのはジョンソンの辞任があったからであり、総選挙で国民の審判を受けておらず、政権を担う正統性に欠けるとの見方もあった。

⎯  続きを読む  ⎯

あわせて読みたい