注目ポイント
10月1日の世論調査によると、トラスの支持率は18%しかなく、不支持率は55%に達し、差し引きで得られるマイナス37ポイントは、すでにジョンソン元首相が辞任して退陣したときよりも悪化していた。これに対して、トラスも一連の「ヘアピンカーブ」を行った...
イギリス女王、エリザベス2世が亡くなる数日前に、新首相のアレックス・トラス氏が就任していた。強硬な保守党の党首として、支持者はイギリス史上初の女性首相であったマーガレット・サッチャーチャ同様、「新しい鉄の女」と呼んだ。
1980年代、サッチャー夫人の改革への執念は、やがてイギリスを不況から脱却させることになった。トラス氏も経済活性化も最優先課題としていた。9月23日の新経済政策の発表後、国内外から強い疑問の声が上がったのは予想外だった。
常に正しい道を歩むことを主張してきたトラス氏だったが、ついに圧力に屈し1週間も経たないうちに、政策内容の一部が撤回されるという、なんとも恥ずかしい事態となった。今回は、就任1か月足らずの新首相が、なぜこれほどまでに騒がれたのかを探ってみた。イギリス国民はどれほど大きな経済圧力に直面しているのか?この件で台湾の参考になるような場面はあるのだろうか?
インフレの中、減税する新イギリス首相の財政計画
9月6日に首相に就任したトラス氏は、イギリスを新しい時代に導くと約束した。9月23日には首相として初めて国会に足を踏み入れ、減税とエネルギー価格の抑制を強調した新しい政策を発した。インフレの危機から脱し、将来の経済成長を刺激するために、減税とエネルギー価格をコントロールすると強調した。
現政権は、人々が手に負えない請求書に追われないよう、そしてインフレを抑制し成長を促すために、新しいエネルギー価格保証の導入に即座に行動した。
トラス氏は「高い税率はイギリスの競争力を損ない、労働、投資、も「起業への意欲を減退させる。税率が高ければ高いほど、人々は脱税しようとしたり、海外で働いたり、そもそも働くことから逃げようとする」とした。
国民の節約を助け、企業がコストを削減するのを助けるために、すべてが良いことのように聞こえるが、問題は減税により、2027年まで450億ポンドの税収が縮小され、エネルギー価格の保護により、最初の6か月で600億ポンドが財務省の負担となると試算されていた。しかし、政府は財政支出の削減策を打ち出さず、借金、つまり国債の発行に頼って対処するつもりで、イギリスの財政はすでに苦境に立たされており、これでは困難に拍車がかかるのは明らかだった。
特に、一連の減税措置には、最高所得税率を45%から40%に引き下げることも含まれており、収入が最も高い富裕層にとっては税金を節約することになる。この措置は、全減税額のうち大きな割合を占めるものではないが、物価の高騰や電気・ガス料金の高騰でイギリス国民が圧迫されている状況のなか、国民は特に苛立ちを感じていた。