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2022-11-11 政治・国際

米・中間選挙で民主党が予想外の善戦 共和党の「巨大な赤い波」不発のワケ

© Photo Credit: Reuters /達志影像

注目ポイント

8日投開票の米・中間選挙は、大手メディアが予想した「巨大な赤い波」は起きず、共和党員らにとって失意の結果となった。バイデン大統領の支持率とは裏腹に、民主党は「この20年で最も成功した中間選挙」という成果を勝ち取った。その理由は何だったのか。

ほとんどの共和党員らは、中間選挙当日の夜、上機嫌で選挙速報を見つめていた。共和党色である「赤」が全米を覆い尽くす「巨大な赤い波」に大きな期待を寄せ、前大統領の長男ドナルド・トランプ・ジュニア氏は、民主党にとって大敗北となることを予見し、「大虐殺だ!」とツイートした。ケビン・マッカーシー共和党下院院内総務は選挙で圧勝し、下院議長に就任することで民主党を弱体化させると支持者を前に自信たっぷりに語っていた。

しかし、時が経つごとに選挙速報の内容は、予期せぬ方向に動き出した。2002年のジョージ・W・ブッシュ大統領以来となる共和党の歴史的圧勝で、バイデン氏を追い詰めるはずだった。そのバイデン氏は9日午後の会見で、「良い日だ。民主主義にとって良い日だ」とし、共和党は「(民主党が)大敗すると期待していたが、現実には起きていない」と述べた。

民主党、共和党にかかわらず大統領にとって中間選挙はいつも鬼門だ。米誌「USニュース&ワールド・リポート」によると、中間選挙では大統領が所属する政党は平均で下院28議席、上院4議席失う。

だが、今回の中間選挙では平均をはるかに下回る議席の減少に抑えたバイデン氏は、開票作業が続く9日の記者会見で、選挙結果に関係なく「共和党と協力する用意がある」と述べた。バイデン氏は12日~16日までカンボジアとインドネシアを訪問する。主要20か国・地域首脳会議(G20サミット)などに出席するためだ。そして帰国後に議会両党の指導者と会い、党派を超えて、経済や安全保障について議論する意向を明かした。

今回の中間選挙は任期2年の下院435議席全てと、任期6年の上院100議席のうち約3分の1にあたる35議席が改選対象になった。日本時間11日午前の時点で上院は民主が48、共和が49、残り3となっている。また、下院は民主189、共和209、残り37で、共和党が優勢となっているものの、民主党が追い上げている。

全ての開票作業を終えるまでにはまだ時間がかかるものとみられ、ホワイトハウスのジャン・ピエール報道官も投票日前日、最終的に全議席が確定するまでには「数日を要する」と述べていた。

そんな今回の選挙のカギとなったのが「MAGA」だ。共和党のトランプ前大統領の支持者や、彼らを中心に広がった「Make America Great Again(米国を再び偉大に)」運動のことを示す。

トランプ氏は20年の大統領選で敗北したものの、共和党内ではいまだ大きな存在だ。2年後の大統領選を見据え、トランプ氏は自分を支持する候補者、上下両院と知事の候補約200人を推薦し、その8割以上が相次いで当選を決めた。

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