注目ポイント
アインシュタインの相対性理論によると、ブラックホールとは光でさえ逃げることができないほどの強力な引力があり、「広大な宇宙にある最も恐ろしい存在」という印象だ。そんなブラックホールの中で、地球に最も近いものがこのほど新たに発見された。しかも、地球からは「裏庭」ほどの距離だという。
そもそもブラックホールとは、〝崩壊した星〟で、ガイアBH1の元になった恒星は少なくとも太陽の20倍の質量を持ち、わずか数百万年の寿命で〝崩壊〟したと推定される。ガイアBH1とその伴星は連星系を構成する。だが、このシステムの形成と進化はまだ謎だ。
ロエジャース氏は、ガイアBH1を「非常に特殊」で、「既知の他のすべてのブラックホールとは異なり、標準的な連星系の進化モデルではその存在を説明するのは困難だ」と述説明した。ガイアBH1は、恒星ブラックホールと「G型主系列星」と呼ばれる太陽のような星が、互いの重心の周りを軌道運動している連星系だ。
国立光赤外線天文学研究所は、天の川銀河には1億個の恒星ブラックホールが存在すると推定しているが、確認されているものはまだほとんどない。ガイアBH1の発見は、宇宙にその存在が知られていない静かなブラックホールを見つけ、理解するための重要なステップとの大きな期待が寄せられている。
この発見に関するエル・バドリー氏の論文は、先週公開された英国の王立天文学会月報に掲載されている。