2022-11-08 政治・国際

ツイッター買収のマスク氏、社員の半数クビ 8日の中間選挙では共和党へ投票呼びかけ

© Photo Credit: Reuters /達志影像 Elon Musk

注目ポイント

440億ドル(約6兆4500億円)という巨額を投じてSNS大手ツイッター社を買収したイーロン・マスク氏。先月末日付けで最高経営責任者に就任すると同時に、同社幹部を全員解任。また、世界中にいる社員7500人の約半数という大量解雇も告知した。米紙ニューヨーク・タイムズは混乱するツイッター社の内部事情をリポートした。一方、米国では中間選挙を翌日に控え、「政治的中立」を主張していたマスク氏は7日、共和党の議員候補に投票するよう呼びかけた。

ニューヨーク・タイムズ紙によると、ツイッター社の社員が解雇されるという噂は3日夜、電子メールアカウントが閉鎖されたことから一気に現実味を帯びた。だが、解雇についての正式な通知を誰も受け取っておらず、社内で使用するチームコミュニケーションツール「Slack」のアカウントはまだ機能しているものもあった。アイルランドと英国のオフィスでは夜になっても社員が居残り、サンフランシスコ本社から何らかの連絡を待っていた。その後、夜中に失業したことを知った社員もいたという。

4日早朝までに、マスク氏による人員削減の規模が明らかになりつつあった。複数の関係者によると、同社の従業員の約半数のあたる3700人が解雇となり、その対象はエンジニアリングやコンテンツ調整部門、販売・広告部門など多岐に渡った。同紙は、IT企業で1人の人物によって、これほどまでに深刻な人員削減が行われることはめったにないと指摘した。

5日、ツイッターの共同創業者であるジャック・ドーシー氏は社員らに謝罪。「多くの人が私に腹を立てていることは分かっています」とし、「なぜこのような状況に陥ったのかについては、私に責任があります。会社の規模を急速に拡大し過ぎたのです」とツイートした。

マスク氏が個人で巨額の資金を投じ、同社の買収を完了してからわずか1週間で、大量解雇によりツイッターは激変した。一方で、世界一の富豪がSNSを効果的に運用し、新たな製品機能の追加、ユーザー数の増加、他の収益源を追及するなどといった野心的な計画を果たして実行できるのか、多くの人が疑問を投げかけている。

また、マスク氏はツイッターが抱える多くの課題に直面している。買収で130億ドル(約1兆9000億円)の負債を抱え、財政的なプレッシャーにさらされているとニューヨーク・タイムズ紙は指摘。同社は過去10年間で8年は赤字を記録し、他のソーシャルメディア企業と同様、景気減速の中でデジタル広告の減少に直面している。

ツイッターの収益の90%を提供している一部の広告主は、マスク氏のもとでサイトのコンテンツがどのように変化するのかという不安材料を理由に、ツイッターへの支出を一時停止。4日にはフォルクスワーゲングループなどの広告主も拡大する広告掲載ボイコットに参加したため、その動きは加速した。

また、「完全な言論の自由」をうたってきたマスク氏が、ツイッターを買収したことで人権団体などは、ツイッターのコンテンツルールを緩和すると、有害なメッセージが増加する可能性があると警告する。

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