注目ポイント
花は人生の重要な場面で必ずと言っていいほど必要になる。台湾人と日本人の人生観の違いから、台湾で花が必要になる場面、台湾特有の花文化を紹介する。
花屋の仕事というのは、非常に多岐に渡る。店頭販売の一般的な花屋もあれば、今はインターネット店舗だけの花屋も決して少なくない。また、花屋の仕事は人生において重要な節目に携わることが多い。入学や卒表、入社や退社、結婚、出産、新居購入、開業、葬式など、重要場面では必ずと言っていいほど花が必要になる。今回は、日本と台湾の人生観や文化の比較しながら、台湾でどういった場面で花を贈る場合が多いのかをご紹介する。
台湾と日本の人生観の違い
日本では一般的には、良い学校に入り、良い仕事に就き、結婚、出産、マイホーム購入が安定した理想の人生とされる場合が多い。もちろん、時代と共に新しい価値観や多様性が重視され、決してそういった人生が良しとされる風潮ではなくなってきている面もある。台湾の場合も同様に、このような人生観が理想とされているが、学歴社会に関しては台湾の方が根深く残っているかもしれない。また、結婚の際には、車と家の購入を結婚の条件にしている親もいまだに多い。
一方、仕事に関しては日本は終身雇用が理想とされているのに対し、台湾では終身雇用が必ずしも良しとされているわけではない。ここは欧米式に近いものがあり、転職を繰り返し、数多くの仕事を経験しスキルアップをした方が高給な仕事に就きやすいといった風潮もある。また、日本と異なり非常に起業しやすい社会システムになっており、20代でも独立し自分の会社や店を持つ人も多い。そういった自由な思想は、日本とは異なった文化であり、私が台湾に移住を決断した理由の一つでもある。
台湾で花が必要な人生の場面
このように日本と比較した場合、人生における重要な場面は台湾の方が若干多いのかもしれない。そういった文化について知っておくことも、花屋の仕事の一つである。お客様と会話をしていると、お客様のさまざまな背景や花を贈りたいという気持ちを知ることができ、届け先の方の人生の重要な場面に、その名のとおり「花を添える」ことができるのは、花屋の仕事の醍醐味である。
台湾の首都、台北にある私の店の場合、お客様が花を贈る用途として最も多いのは開店祝いである。土地柄もあるが、先述したとおり台湾は非常に起業しやすい文化である。その為、毎日多くの開店祝いの花のご相談をいただいている。中でも、個人の美容院やカフェの開業祝いは多く、オーナーは20代から30代が一番多い。いくら起業しやすいと言っても、それなりのお金と能力がなくては起業するのは難しく、若くして自分の店を出すことには大変立派なことだと思う。