注目ポイント
日本のように四季がはっきりしていない台湾でも、秋の訪れを感じさせてくれる植物がある。街路樹として植えられていたり、古くから漢方として重宝されてきたりと、日本と馴染みの深いものも少なくない。
日本の秋の花といえば、コスモス、ススキ、リンドウなどが一般的によく知られている花ではないだろうか。また、「春の七草」ほど有名ではないが「秋の七草」というものもあり、日本人が季節を感じる植物として古くから親しまれてきた。
11月でも20度を超える台湾は四季感が日本ほど無いため、台湾の秋の花は何かと台湾人に尋ねても、答えられる人はそれほど多くないのではないだろうか。今回は、そんな台湾の秋の花をいくつかピックアップしてご紹介していく。

台湾原産の街路樹「台湾欒樹(タイワンモクゲンジ)」
「台湾欒樹」は名前にもあるように、台湾を原産とした落葉性の高木である。大きくなると高さは15m以上にもなり、台湾の街中の至る所で目にすることができる。春には赤い若葉が芽吹き、夏には黄色い花を咲かせ、秋には紅葉しピンク色の実がなるなど、一年を通して人々を楽しませてくれる植物である。私の知人でも、街中でピンク色の木を見ると秋を感じる、という台湾人もいる。
ちなみに、このピンク色の実は種子の周りの皮(果皮)であり、まるで紙のような質感である。また、この木は嘉義縣のシンボルとしても指定されたり、日本では沖縄県で1980年代に緑化計画の植物として選定され街路樹などに使用されている。

秋の山を彩る「虎杖(イタドリ)」
日本の紅葉を代表する植物がモミジであるように、台湾でも山を紅葉で彩る植物がある。それが「虎杖」だ。台湾では2,400〜3,800mの山地に分布しており、山々を鮮やかなピンク色に彩る。台湾の秋は先ほどの「台湾欒樹」のようにピンク色が多い印象がある。
なお、この植物は漢方としても使用されており、咳止めや鎮痛作用、止血作用があるなどとして台湾で古くから重宝されてきた植物である。また、日本でも同様に生薬としての効果があることが知られており、イタドリという日本名についても「痛みを取る」が由来というのが通説である。
虎杖という漢字については、節に赤い模様があることを虎の縞模様に見立てて、虎杖という漢字になったと言われ、中国から伝来された。日本でも台湾でも同じ漢字の植物は多々あるが、薬として両国とも古来から使用されてきたというのは面白いところである。
切花に見る秋の花たち
台湾の秋は切花業界においても、重要な季節である。台湾の場合は、秋は新学期のスタートする時期でもあり、日本でいう新年度の始まりのような季節である。秋から新しく習い事を始める人やお店をオープンする人も多い。そのため、お祝いの花の注文が増えたり、花のレッスンを始める生徒が増える時期でもあるのだ。