2022-11-04 政治・国際

ベトナム、パキスタンの首脳が相次いで訪中 中国依存の独・ショルツ首相は4日北京入り

© Photo Credit: Reuters /達志影像 Olaf Scholz

注目ポイント

異例の3期目続投を決めた習近平国家主席のもとへ、外国首脳の訪中が相次いでいる。ベトナムの最高指導者グエン・フー・チョン共産党書記長とパキスタンのシャリーフ首相は、それぞれ2日に北京での公式日程を終え、入れ替わるように4日にはドイツのショルツ首相が自国企業の幹部らを同行させ、就任以来、初めて中国入りする。だが、欧州連合(EU)は、経済優先のドイツが中国への経済依存を強めることへの懸念を示している。

習氏の新たな任期が始まって、最初に招かれた外国の首脳はベトナムのグエン・フー・チョン共産党書記長だった。チョン氏は先月31日から4日間の日程で訪中し、習氏と会談した。中国とベトナム双方の共産党は公式には緊密な関係を保っているが、両国は長年にわたり不信や領土問題を抱えていることから、緊張関係でもある。

習氏は米国など西側を念頭に、「社会主義国の発展は、深刻なリスクと挑戦に直面している」と警戒感を示した上で、「われわれの前進の歩みを絶対に誰にも邪魔をさせない。いかなる勢力にも絶対に私たちの制度的基盤を揺るがされることはない」とけん制した。

チョン書記長は「一つの中国」の原則を堅持するとし、いかなる形の台湾独立への分裂活動にも断固反対すると中国の政策に賛同する姿勢を強調。だが、中国と領土問題で対立する南沙諸島と西沙諸島をめぐっては、「両国の関係に影響を与えないようにする必要がある」とくぎを刺した。

香港紙サウス・チャイナ・モーニング・ポストは外交専門家の話として、習氏との会談の中でチョン氏は、「外国がベトナム国内に軍事拠点を置くことはあり得ないとし、また、いかなる軍事同盟も結ばないことを確約した」と伝えた。

同紙はこのことが、「これまで台湾や南シナ海への米国の影響力に悩まされてきた中国の士気を高めるものだ」と指摘。ベトナムと米国の急接近を脅威と受け取る中国にとって、チョン氏による言明は習政権を安堵させるものだとしている。

チョン氏とほぼ同時期に北京を公式訪問していたパキスタンのシャリーフ首相に対して習氏は、同国の安定のために経済支援を継続していくことを約束。中国の国営メディアによると、両首脳は、一帯一路構想の一部である「中国・パキスタン経済回廊」の発展や、パキスタン南部にあるグワーダル港の港湾施設建設を加速させるため、協力して進めることを確認した。

一方、ドイツのショルツ首相はコロナ禍が始まって以来、初めてのG7首脳として訪中。この動きに対し、欧州連合(EU)欧州委員会のブルトン委員(域内市場担当)は今週、「欧州の政府・企業は中国が競合相手であることを認識し、中国からの投資を承認する際には甘い考えを持つべきではない」と警告。ドイツを念頭に置いた発言とみられる。

ロイター通信によるとドイツは最近、中国海運大手の中国遠洋運輸(COSCO)に対して、ハンブルクにあるドイツ最大港のターミナルの権益24.9%の取得を承認した。これについて、ブルトン氏はロイターのインタビューで、3分の1以上の権益売却という当初案と比べ、25%の売却にとどめる決定は「好ましい」としたものの、「われわれは非常に警戒する必要がある」とした。

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