注目ポイント
チェコの写真家キリル・ルデンコ氏は、世界中の都市や街角の空気を取り込み、海を越えなくても地球の裏側の空気を体験できる「空気缶」を発案した。さらに缶には、それぞれの成分が表記されているそうだ。(文・Ryota)
空気は通常、無色・無臭だが、さまざまな元素と混ざり合うことで、目に見えない別のものになったり、より意味深いものになったりする。
しかし、こうした空気の違いや意味は、オナラの匂いではなく(それはそれで独特のものがあるが)私としては「街の匂い」を意味ある空気として選ぶのだと思う。 世界中の都市がそれぞれの文化、食べ物や飲み物、湿度などの特徴を混ぜ合わせると、その空気はローカルな「都市の記憶」を作り出す。
キリル氏は、世界中のさまざまな都市や街角の空気を集めた「空気缶」を作ることで、地球上のあちこちの香りを体感できる、と思いついた。さらに彼は、缶に詰められた空気に含まれる成分についても詳細に記載している。
例えばロンドンの空気は、20%バッキンガム宮殿、20%はビックベンと言った具合だ。
それでは、以下4都市の空気の組成をご紹介しよう。
#01:東京

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東京の空気缶の成分は、天皇陛下がお住まいの皇居から10%、歌舞伎町から10%、渋谷のスクランブル交差点から10%、新宿と渋谷にまたがる国立公園、新宿御苑から20%で構成されているのだそう。 また、東京タワーや東京の名所である六本木ヒルズや明治神宮もそれぞれ10%、2018年に閉鎖された築地魚市場も10%を占めている。そして最後の10%は特定の観光地ではなく力士の香りだそう。
#02:上海

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上海の空気缶では、東方明珠塔や上海環球金融中心を思い浮かべる人が多いのではないだろうか。これらが占めるのは10%ずつ。そのほか外灘などの人気スポットが20%を占めている。また、玉佛禪寺や豫園などの人気地が各10%。上海租界最大の公園である復興公園や、世界で唯一の商業用磁気浮上実証ラインがそれぞれ10%、最後に上海ではよく見る霧が20%だ。
#03:ニューヨーク

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自由の女神、エンパイアステートビル、ブルックリン橋は世界的に有名なランドマークで、それぞれニューヨークの空気缶の20%、20%、10%を占め、残りの50%はニューヨークの主要交通機関であるグランドセントラルターミナル、多くの映画の舞台となったセントラルパーク、ブロードウェイと7番街にあるタイムズスクエア、多くの現代建築家がニューヨークの象徴として選んだクライスラーパークが占めている。現代建築家たちにニューヨークで最も優れた建物のひとつに選ばれたクレスラービルがそれぞれの10%を占め、残りの10%は民族的に多様なリトルイタリーやチャイナタウンで構成されている。