2022-11-21 政治・国際

台湾で注目度浮上する?どうなる「18歳公民権」を問う住民投票 統一地方選と同日実施

© Photo Credit: AP / 達志影像

注目ポイント

26日に迫った台湾の統一地方選挙に合わせて、選挙権の年齢を現行の20歳から18歳に引き下げる憲法改正の是非を問う国民選挙が実施される。18歳公民権が認められれば台湾の選挙文化が大きく変わると見る向きもあるが、「台湾独立」や新型コロナウイルス感染者の隔離問題との関連などから、可決に必要な有権者の過半数の賛成を得られるかどうかは不透明だ。

2022年10月26日夜、台北市中心部のホテルで市民集会が行われ、蔡英文総統をはじめ、著名な歌手の沈文程氏、若者の間で高い人気を誇るユーチューバーの鄭家純氏などが次々と登壇。集まった約1200人の参加者に対し、「若者に政治参加のチャンスを」などと訴えて、「18歳公民権」への支持を求めた。この様子はインターネットにも配信され、各掲示板で話題を集めた。台湾では11月26日、台北市長選挙を含む統一地方選挙が行われる。与野党対決の選挙戦は白熱している。だが、同じ日に「18歳公民権」の是非の問う住民投票も行われることは、これまであまり話題になることはなかった。

「18歳公民権」とは、今年3月に立法院(国会)で可決した憲法修正案で、各種選挙に投票できる年齢を20歳から18歳に修正することだ。立法院では与党の民主進歩党を始め、野党の中国国民党、台湾民衆党、時代力量を含む主4政党はすべて賛成している。しかし、一般市民にとって、この問題に対する関心は高くない。

台湾メディアが発表した世論調査によれば、10月末時点で、約51%の有権者は、11月26日に「18歳公民権」の住民投票があることを知らないという。台湾の政治関係者によれば、「原子力発電の是非」など、世論を二分する議題であれば、選挙の争点にもなりやすく、市民の関心も高い。しかし、「18歳公民権」のようなすべての政党が賛成する議案になれば、はっきりした対立の構図が見えないので、逆に話題になりにくい。メディアもあまり取り上げないため、「投票する人が少ないのではないか」と懸念している。

台湾の法律によれば、憲法改正案の成立には、住民投票では有権者の半分にあたる約965万人以上の賛成が必要だ。高いハードルだと言わざるを得ない。というのは、2020年1月、蔡氏が総統に再選されたときの得票数は史上最高の約817万票だった。つまり、「18歳公民権」において憲法修正案を通すために、2年前の蔡英文氏の得票からさらに148万票を上乗せしなければならない。

10月26日の集会で、蔡氏は「今回の投票で台湾の未来が決まる。しかし965万の賛成票を集めることは難しい。私を支持する人も、支持していない人も含めて、みんな、投票に参加してほしい」と訴えた。

台湾当局が今になって、「18歳公民権」問題に本腰を入れたのは、世界の流れに合わせるためでもある。台湾メディアの調べによれば、2022年現在、世界で約200の国と地域のなかで、9割以上が投票年齢を18歳にしている。20歳にしている国と地域は台湾を含む12しかない。日本でも長く「投票は20歳から」という法律が施行されてきたが、2016年に公職選挙法が改正され、18歳から投票できるようになった。日本の法改正は蔡英文政権にとって大きな圧力になったようだ。

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