注目ポイント
美しいまま廃棄されてしまう「ロスフラワー」問題が花業界で深刻化している。日本国内では廃棄量を減らす取り組みが業界規模で広がる一方、台湾でこの問題が話題にのぼることは稀。曖昧な慣例が問題解決の壁となっているが、それでも個人や花屋単位でできる対策はある。
皆さんは、「ロスフラワー」「フラワーロス」あるいは「ロストフラワー」という言葉を聞いたことがあるだろうか。
コロナ禍において、「食品ロス」が注目されているように、花業界にも様々な理由から廃棄(ロス)されてしまう花が存在する。多くのイベントや結婚式が、コロナのために中止に追い込まれた影響で、食品業界だけでなく切花業界にも大きなダメージを与えることとなった。新鮮な花も大量に処分され、ニュースにならないまでも花業界では深刻な問題となっている。今回はそんな「ロスフラワー」について、ご紹介していく。
ロスフラワー問題とは
実は、コロナ前からロスフラワーの問題は常々花業界では話題にあがる。現在でも多くの花屋が鮮度が落ちた花をドライフラワーに加工したり、定価よりも安く販売するなどで、なるべく廃棄する花の量を減らしている。
だが、花屋に花が到着する以前に、市場流通の過程でのロスフラワー問題も存在する。農家では厳しい市場の規格に満たなかった花は出荷されないまま廃棄され、市場では供給過多の花やマージンなどにより高騰した花は、買い手がおらずそのまま廃棄されている。日本では、ロスフラワーは市場に出回る出荷量の約3割にも上るといわれている。そこに今回のコロナが加わり、さらに深刻化しているというわけだ。

台湾のロスフラワー
では、台湾ではどうだろうか。台湾もロスフラワー問題は日本同様に存在しているが、日本ほど話題にあがることはない。花業界自体が日本より規模が小さいこともあるが、日本ほど「もったいない」と思う文化は根付いておらず、どちらかというと利益を優先しがちな合理主義的な企業や人が多いことなども、あまりロスフラワー問題が知られていない原因の一つではないだろうか。
私も台湾に移住して以来、毎日のように市場で廃棄されている大量の花たちを見て、心を傷めてきた。仲卸や市場関係者に現状の聞き込み調査を行ったり、他の花屋の経営者との交流の中で、ほとんどの人がロスフラワーを気にしていない様子であった。そこで、私は市場関係者や古くから花業界に携わっている方々に廃棄予定の花を購入させてもらえないかと相談した。
台湾は台湾産の花は値段は安いものの、種類が非常に少ない。そのため、デザインの幅を制限されるため、多くのオシャレな花屋たちは高価な輸入花を使用することになり、販売価格を高くすることで経営を成り立たせている。だが、それは結局のところ消費者の負担を上げることになり、ある程度金銭的余裕のある人しか花を購入できないという結果を生み出している。私はその現状を打開する意味でも、低コストで花を仕入れ、低価格の商品を一般層に提供したいと考えていた。