2022-11-01 経済

日本が台湾から学べるサービスとは?

© Photo Credit: Shutterstock / 達志影像

注目ポイント

顧客のニーズを察知して予め準備する日本流の「おもてなし」よりも、時に「ゆるい」と形容される台湾の臨機応変な対応のほうが、サービスのレベルを高く感じるーー台湾で起業した日本人経営者が、これからの日本に必要なサービスのあり方を考える。


みなさんこんにちは!台湾で2017年に起業し、2022年9月に台湾起業6年目を迎えた applemint 代表の佐藤峻です。

今日は日本が台湾から学べるサービスについてお話をしたいと思います。

日本のサービスと台湾のサービスを比べた際、恐らく9割以上の方は、日本のサービスの方が台湾よりも優れていると考えると思います。

確かに日本のサービスは平均的に高く、逆に台湾のサービスは良いところもあれば悪い所もあり、ムラがあるのは事実だと思います。

例えば僕は先日台湾で某ラーメン屋さんに寄りましたが、サービスらしいサービスはなく、入店や退店時の挨拶もありませんでしたし、店内には色々なものが埃まみれで置かれていました。

日本ではこのようなお店は絶滅危惧種に相当するぐらいレアだと思います。

しかしだからと言って日本は台湾から学べるサービスはないかと言うと、僕はそうは思いません。今日はそんなお話をしたいと思います。

日本人が考えるサービスと世界が考えるサービス

日本人が考えるサービスは東京オリンピック誘致のプレゼン以来、かなり歪曲された気がすると僕は個人的に思っています。あのプレゼンテーション以来、「おもてなし」という言葉が一人歩きし、いつしか多くの日本人は、「おもてなし」とは相手のニーズを察知して予め準備する事、と考えている気がします。

現に僕が以前立ち寄った日本人のレストランでは、店主の方が僕の食べる様子を見ながら次の料理の塩加減を決めているとお話をされていました。

彼は顧客の表情を見て、相手のニーズを事前に察知して準備する事を心がけているそうで、彼曰くこれが「おもてなし」だそうです。

その店主を批判するつもりはありませんが、僕はその日の料理は全てしょっぱいと感じました(苦笑)

相手に何も聞かずに相手のニーズを読んで、先回り出来ればそれは凄い事ですが、そんなのは無理だと僕は思っています。

特に外国人観光客を相手にする場合は、その相手の国に移住した経験がないと無理だと思っています。

少々極端な例ですが、例えばベルギーに行った事がない店主が、ベルギー人の習慣や好みに合わせて事前に相手のニーズを察知するのは不可能でしょう。

従って外国人を相手にした適切なおもてなしは、まずは相手にニーズを聞くことがいいと僕は思います。

例えばアメリカではウエイターやウェイトレスの人が食事の途中で必ずと言っていいほど、「Is everything OK?」(お食事はいかがですか?)と聞いてきます。

チップ文化のアメリカでは、相手のニーズを満たせば自分の収入がアップするので、このように顧客にニーズを聞く場合が多いです。

しかし日本にはチップ文化はありませんし、お客さんに食事の途中で料理について意見を聞く文化はほぼありません。

それ故に相手のニーズを事前に察知する事が求められ、それがいつしか「おもてなし」と混同してしまったと僕は考えています。

僕はこれを間違いと言っているのではなく、顧客のニーズを察知して準備する事が、外国人を相手にすると往々にして間違っているケースは多く、外国人を相手にしたサービスは直接聞いた方がいい、というお話です。

Photo Credit: Shutterstock / 達志影像

日本人は皆愛想がいいけどサービスが低いと感じる瞬間

日本人の店員さんのお礼や挨拶は本当に100点です。僕は今までにアメリカ、シンガポール、台湾に住み、その他色んな国へ旅してきましたが、ファーストフードからコンビニの店員まで、ありとあらゆるお店の店員さんでさえしっかり挨拶をする国は日本ぐらいだと思います。(台湾の店員も割とちゃんと挨拶をする方だと思います)

しかしそれだけがサービスではありません。僕はサービス業のプロではありませんが、4カ国に住んできた僕が思うサービスは例外への対応と柔軟性だと思っています。

僕は日本へ一時帰国する度に、日本人の愛想の良さには毎度感動します。

しかしそれと同時に例外への対応にはガッカリする場合が多く、日本ではたびたび柔軟性への欠如を感じます。

具体的な事例は避けますが、みなさんも「規則なのでご対応いたしかねます」のような言葉を聞いた事があるのではないでしょうか?

 

台湾人は日本人より平均的に愛想が悪いけれどサービスのレベルが高いと感じる事

台湾は日本よりも平均的に愛想が悪い店員さんが多いです(苦笑)しかしそんな台湾でサービスが高いと感じる場面があります。

それは例外への対応です。これは時に現地に住んでいる日本人には、「ゆるい」と形容されます。僕は台湾のこのゆるさが好きです。

例えば僕は以前外国人の労働許可証を取得しようとした際、一部の書類が欠けていました。しかし、担当者の方は異なる選択肢を提示してくれて無事労働許可証を申請することができました。

移民局でも同じような対応をされた事がありますし、タクシーもキリのいい金額にまけてくれる場合は多々あります。なんならタクシーに至っては、日本から台湾へアストラゼネカのワクチンが送られた際は運転手がタクシー代を全てまけてくれる事もありました。

その他に、今当社で頑張っているインターン生曰く、彼が通う台北の大学では学費を少し滞納しても、「沒關係。晚一點就好」(大丈夫よ。後で払ってね)で済む場合があるそうです(彼の大学だけかもしれませんが…)。

僕は台湾でこうした例外に対する臨機応変な対応をされると、時に台湾のサービスのレベルを高いと感じます。

 

日本が台湾から学べるサービスは「ゆるさ」では?

規則をガチガチに固めるのはいいですが、今日本に求められているのはこうした「ゆるさ」ではないかと僕は思っています(日本でも田舎に行くとこうしたゆるさが残っていて好きです)。

例外を作りすぎるとそこに漬け込む人がいる事は事実ですし、規則を作ると運営側の運営が楽になる事は確かです。

しかしその結果日本は都市部を中心に、とても息苦しい社会になっている気がします。

残念ながら規則だらけのサービスは、例外対応を難しいものとし、日本のサービスレベル向上の足を引っ張っていると僕は感じます。

みなさんは国外へ旅行した際、例外対応をされた事はあります?僕は直近だとオランダでされて、その時の出来事が今でも鮮明に覚えています。

国外旅行をして印象に残るサービスはいつだって例外対応です。

今度台湾に来た時は、台湾の”ゆるさ”に触れてみてはいかがでしょうか?この”ゆるさ”が、「台湾人は優しい」という評判につながって台湾旅行を更に良い体験にしているのではないでしょうか?

 

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