注目ポイント
顧客のニーズを察知して予め準備する日本流の「おもてなし」よりも、時に「ゆるい」と形容される台湾の臨機応変な対応のほうが、サービスのレベルを高く感じるーー台湾で起業した日本人経営者が、これからの日本に必要なサービスのあり方を考える。
みなさんこんにちは!台湾で2017年に起業し、2022年9月に台湾起業6年目を迎えた applemint 代表の佐藤峻です。
今日は日本が台湾から学べるサービスについてお話をしたいと思います。
日本のサービスと台湾のサービスを比べた際、恐らく9割以上の方は、日本のサービスの方が台湾よりも優れていると考えると思います。
確かに日本のサービスは平均的に高く、逆に台湾のサービスは良いところもあれば悪い所もあり、ムラがあるのは事実だと思います。
例えば僕は先日台湾で某ラーメン屋さんに寄りましたが、サービスらしいサービスはなく、入店や退店時の挨拶もありませんでしたし、店内には色々なものが埃まみれで置かれていました。
日本ではこのようなお店は絶滅危惧種に相当するぐらいレアだと思います。
しかしだからと言って日本は台湾から学べるサービスはないかと言うと、僕はそうは思いません。今日はそんなお話をしたいと思います。
日本人が考えるサービスと世界が考えるサービス
日本人が考えるサービスは東京オリンピック誘致のプレゼン以来、かなり歪曲された気がすると僕は個人的に思っています。あのプレゼンテーション以来、「おもてなし」という言葉が一人歩きし、いつしか多くの日本人は、「おもてなし」とは相手のニーズを察知して予め準備する事、と考えている気がします。
現に僕が以前立ち寄った日本人のレストランでは、店主の方が僕の食べる様子を見ながら次の料理の塩加減を決めているとお話をされていました。
彼は顧客の表情を見て、相手のニーズを事前に察知して準備する事を心がけているそうで、彼曰くこれが「おもてなし」だそうです。
その店主を批判するつもりはありませんが、僕はその日の料理は全てしょっぱいと感じました(苦笑)
相手に何も聞かずに相手のニーズを読んで、先回り出来ればそれは凄い事ですが、そんなのは無理だと僕は思っています。
特に外国人観光客を相手にする場合は、その相手の国に移住した経験がないと無理だと思っています。
少々極端な例ですが、例えばベルギーに行った事がない店主が、ベルギー人の習慣や好みに合わせて事前に相手のニーズを察知するのは不可能でしょう。
従って外国人を相手にした適切なおもてなしは、まずは相手にニーズを聞くことがいいと僕は思います。
例えばアメリカではウエイターやウェイトレスの人が食事の途中で必ずと言っていいほど、「Is everything OK?」(お食事はいかがですか?)と聞いてきます。