2022-10-28 政治・国際

中国共産党大会を振り返る

注目ポイント

習近平氏は3期連続で総書記を務めるのか? 誰が李克強氏の後を継いで総理になるのか?次期政治局常務委員になるのは誰か? 中国は今後5年間の景気減速にどう対処するのか?米国とどう戦い、欧州との関係をどう調整するか?台湾政策にどのような変化があるのか?これらの疑問は、1週間にわたる第20回中国共産党大会と1中全会で全て解決される。

本来、総書記の人選が最も重要であり、特に2012年に政権を握った習近平氏は、すでに1度再選を果たしており、今年は後継者にバトンタッチをするはずであった。しかし、習近平氏はすでに多くの慣例を破っており、第20回中国共産党大会前から前代未聞の3度目の総書記に選出されるのが、外部の分析でほぼ一致していた。

かつて中国党大会では、欧米の選挙のように多くの政党、派閥闘争、意見の食い違いがあったが、今回は中国共産党が政権を握って以来数少ない派閥闘争がない選挙になるだろう。つまり、習近平氏はすべてをコントロールしているのだ。

どのようにしたら権力の引き渡しが平穏に進むのかは中国共産党にとって常に難題である。2代目国家主席の鄧小平氏は、毛沢東氏のような支配的な状況を避けるために、過度な権力集中を避けることと、指導者交代を円滑に行うために、「集団指導体制」と「後継者指名制度」を採用した。彼の後継者である江沢民氏は「七上八下」と呼ばれる常務委員の年齢制限の慣例を作り、長年党内の暗黙のルールとなっている。

しかし、習近平氏が政権を握ると、権力の集中化を進める一方で、胡錦濤前総書記が指名した後継者である胡春華氏を権力交代準備のための常務委員会に参加させなかった。

現在69歳の習近平氏はすでに総書記を2期務めており、「七上八下」の慣例によると再選ができないはずだが、2017年の第19回中国共産党大会以来、後継者を指名する動きがない。また、2018年に党規約を改正し、国家主席再選不可の規約を撤廃したことで、共産党総書記を前代未聞の3期連続で務めようとするための動きとして外部に見られていた。そして、このことは第20回中国共産党大会の決定で証明された。

中国の政権は強い継続性がある。それは政策の安定に繋がるというメリットがあるが、一方で習近平氏が本当に永遠に政権から降りない人物になるのではと、私たちを含む多くの人々が恐れている。

また、誰が政治局常務委員と国務院総理になるのかも注目点である。中国戦略分析智庫研究員の鄧聿文氏から、カリフォルニア大学サンディエゴ校の中国政治学者である史宗瀚氏まで、学者たちはそれぞれの推測を立てている。

しかし、常務委員会名簿に習近平派の候補者が何人いるかで、習近平氏の党内での地位が安定しているかどうかが反映されるというのが共通の原理である。不安定な場合は、例外的に習近平派の候補者を多めに抜擢することもある。

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