2022-10-28 政治・国際

中国共産党大会を振り返る

注目ポイント

習近平氏は3期連続で総書記を務めるのか? 誰が李克強氏の後を継いで総理になるのか?次期政治局常務委員になるのは誰か? 中国は今後5年間の景気減速にどう対処するのか?米国とどう戦い、欧州との関係をどう調整するか?台湾政策にどのような変化があるのか?これらの疑問は、1週間にわたる第20回中国共産党大会と1中全会で全て解決される。

昨年以来、「第20回中国共産党大会」というフレーズが繰り返しメディアで報道されるようになった。10月16日に開幕したこの大会は、一部の学者によれば、現在、中国と世界がともに歴史の岐路に立っていることから、ここ数十年で最も影響が強い会議になるとされている。しかし、中国をよく知らない人にとっては、なぜこの党大会がこれほど重要なのか理解できないかもしれない。

第20回中国共産党大会とは? この会議ではどのような事項が決定されるのか? なぜ世界的に大きな注目を集めているのか?

中共二十大、全名を第20回中国共産党全国代表大会という。この党大会は理論上、中国共産党の最高指導機関であり、5年に一度開催される。中国共産党の全党員から選出された代表者が北京に集まり、総書記の活動報告を聞き、党規約の改正、中央委員会と中央紀律検査委員会の選挙が行われる。

党大会が終わると翌日すぐに、新しく選出された中央委員会が会議を開く。 これはいわゆる第20回中央委員会第1回全体会議、または第20回1中全会で、政治局委員や総書記を含む最高権力を持つ常務委員が選出される。

抽象的に見れば、この2つの会議は、共産党の権力が下から上へと集権化されていく過程を象徴している。第20回中国共産党大会の場合、9671万人を超える中国共産党員のうち、「台湾省」からの代表を含む2296人が事前に大会に出席し、400人近い中央委員会のメンバーを選出する。 また、中央政治局委員25名と総書記を含む政治局常務委員7名の選出も行われ、全体構造がピラミッドのようになっている。 トップにいる中央政治局が事実上の最高意思決定機関であり、総書記が最高指導者である。

このプロセスは、ボトムアップで意思決定されているように見えるが、実はあらかじめ「調整」されている。なぜなら、第一段階として、全党員が党代表を選出する際、中国共産党の上層部は制度を通して内部指名をした後に選挙を行い、上層部の人選が確実に選出されるようにしている。次の段階の中央委員選出と、さらに重要な政治局委員や常務委員の選出は、同じく上層部が事前に調整した結果だと見られている。

指導者交代:習近平氏の3期目再選、常務委員や総理の候補者

第20回中国共産党大会の目玉は、新指導部であり、特に政治局常務委員会である。何しろ、一党独裁制で党と国家の区別がない中国では、党のトップが政府のトップなのだ。

本来、総書記の人選が最も重要であり、特に2012年に政権を握った習近平氏は、すでに1度再選を果たしており、今年は後継者にバトンタッチをするはずであった。しかし、習近平氏はすでに多くの慣例を破っており、第20回中国共産党大会前から前代未聞の3度目の総書記に選出されるのが、外部の分析でほぼ一致していた。

かつて中国党大会では、欧米の選挙のように多くの政党、派閥闘争、意見の食い違いがあったが、今回は中国共産党が政権を握って以来数少ない派閥闘争がない選挙になるだろう。つまり、習近平氏はすべてをコントロールしているのだ。

どのようにしたら権力の引き渡しが平穏に進むのかは中国共産党にとって常に難題である。2代目国家主席の鄧小平氏は、毛沢東氏のような支配的な状況を避けるために、過度な権力集中を避けることと、指導者交代を円滑に行うために、「集団指導体制」と「後継者指名制度」を採用した。彼の後継者である江沢民氏は「七上八下」と呼ばれる常務委員の年齢制限の慣例を作り、長年党内の暗黙のルールとなっている。

しかし、習近平氏が政権を握ると、権力の集中化を進める一方で、胡錦濤前総書記が指名した後継者である胡春華氏を権力交代準備のための常務委員会に参加させなかった。

現在69歳の習近平氏はすでに総書記を2期務めており、「七上八下」の慣例によると再選ができないはずだが、2017年の第19回中国共産党大会以来、後継者を指名する動きがない。また、2018年に党規約を改正し、国家主席再選不可の規約を撤廃したことで、共産党総書記を前代未聞の3期連続で務めようとするための動きとして外部に見られていた。そして、このことは第20回中国共産党大会の決定で証明された。

中国の政権は強い継続性がある。それは政策の安定に繋がるというメリットがあるが、一方で習近平氏が本当に永遠に政権から降りない人物になるのではと、私たちを含む多くの人々が恐れている。

また、誰が政治局常務委員と国務院総理になるのかも注目点である。中国戦略分析智庫研究員の鄧聿文氏から、カリフォルニア大学サンディエゴ校の中国政治学者である史宗瀚氏まで、学者たちはそれぞれの推測を立てている。

しかし、常務委員会名簿に習近平派の候補者が何人いるかで、習近平氏の党内での地位が安定しているかどうかが反映されるというのが共通の原理である。不安定な場合は、例外的に習近平派の候補者を多めに抜擢することもある。

同時に、今後の政策の優先順位に関わるため、総理の人選も大きな注目点である。例えば、米国のシンクタンクであるブルッキングス研究所中国センターの主任である李成氏は、国際的評価が高く米国との交流も深い劉鶴現副総理を抜擢したとすれば、中国が戦狼外交の姿勢を和らげ、欧米と積極的に和解する準備があることを示唆している。一方で、中国人民政治協商会議(CPPCC)全国委員会の汪洋主席を抜擢したとすれば、政策を大幅に緩和し、特に経済政策において市場自由主義に向かっていることを象徴していると分析している。

 

今後5年間の政策:内政、外交、対台湾政策

今後5年間の中国の政策の方向性も重要な注目点である。 総書記の活動報告から、指導部の人事配置、党規約の改正までの各方面でヒントが見つかる。

例えば、政権の安定にとって重要な経済や民生問題を見ると、 ここ数年、中国の経済成長はますます減速し、不動産バブルが崩壊しかけた現象も発生している。今年設定された5.5%のGDP成長率目標は、猛烈なゼロコロナ政策のもとでは達成することはなさそうだ。

中国国内の広範囲に渡る新型コロナウイルス流行や、高温、乾燥、雨量減少の異常気象などの予期せぬ事象のため、予想以上に打撃を受けている。一部地域では生産、投資、消費に一定の影響を与え、市場の需要不足がより顕著となり、企業の生産、経営に困難が生じ、経済の安定的な回復を妨げた。

一方、外交面では習近平氏が就任以来、ますます強硬な姿勢をとっているため、欧米諸国から反発を招いている。 中国を地政学上の最大の課題と直接位置づける米国に加え、欧州諸国も対中政策を深く見直している。戦狼外交は続くのか? それとも、中国が少しでも対立姿勢を和らげるのか?

もちろん、対台湾政策も注目に値する。淡江大学両岸関係研究センターの張五岳主任は、共産党の規約にある「祖国統一を完成する」を台湾問題解決の必要性を強調している、2021年7月1日の共産党創立祝賀記念式典用のバージョンに改正するかどうかがヒントになっていると例に挙げている。もし改正されれば、台湾統一に対してより強い態度をとることを意味する。

 


 

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