2022-10-28 ライフ

文化+/新竹の古建築を救う活動から始まったー雑誌「貢丸湯」とその産地<文化+>

注目ポイント

「貢丸湯」は新北市の歴史ある建物やレジャーを紹介する雑誌である。そんな「貢丸湯」を発行する「見域工作室」は、清華大学(新竹市)の異なる学部の学生が一緒になって互いを刺激し合う「清華学院」(現厚徳書院)の仲間たちによって設立された。このプロジェクトの中心となって動いた呉君薇さん。設立までのストーリーや雑誌に込めた思いとは。。

「見域工作室」の呉君薇さん

新竹人は子供の頃、貢丸(新竹名物の肉団子)に乗って学校に通い、12歳になると1粒の貢丸をもらってそれを育て、最後にそれは生涯の乗り物になる―。これはある漫画家の想像上のものではあるが、インターネット上で長く伝えられている。最近、新竹ローカルの雑誌「貢丸湯」は、この漫画家とコラボレーションし、新竹の朝食やグルメが巨大な怪獣になって街を占拠するという漫画を掲載した。

ちょっとふざけ過ぎてはいないだろうか。

実はそんなことは決してない。8年の歴史を持ち、台湾の出版賞「ゴールデン・トライポッド・アワード」(金鼎奨)を2度受賞しているこの雑誌は、常に新竹市街地で市民と共に成長し、自分たちの街の物語を掘り起こしている。決してふざけてはいないのだ。

取材当日、筆者とカメラマンは台北から車を南に走らせ、新竹テクノロジーパークに出勤する人々の渋滞をさっと抜けてから、ひっそりと静まり返った城隍廟夜市をぐるっと回ってようやく旧鍵屋の建物に入る編集部にたどり着いた。この時、太陽はすでに高く昇り、気温は35度。ナイトマーケットの商店街はシャッターが下り、街全体は依然として眠ったままだ。

「こんにちは。ご苦労さまです」。「貢丸湯」の発行人、90年代生まれの呉君薇さんは玄関で私たちを笑顔で出迎えてくれた。入り口に企業名の「見域」の2文字がなければ、歴史ある理髪店と間違ってしまうかもしれない。レトロで飾り気のない雰囲気は完全に庶民の生活に溶け込んでいる。

呉さん(撮影:王騰毅)

※本記事は中央社の隔週連載「文化+」の「從一場搶救新竹老屋行動開始 吳君薇、《貢丸湯》和它的產地」を編集翻訳したものです。

 

▽ 新竹のために何かしたい 清華大の学生同士で活動を開始

「貢丸湯」を発行する「見域工作室」は、清華大学(新竹市)の異なる学部の学生が一緒になって互いを刺激し合う「清華学院」(現厚徳書院)の仲間たちによって設立された。文化部(文化省)が開催する出版物のコンテストで賞を獲得し、予想外に最初の資金を得たことをきっかけに、8年にも及ぶ雑誌実験計画、そして、紙の雑誌を通じて地元住民と交流し、故郷を改めて知る“希望の工事”が始まった。

大学時代、学生議会の議長を務めていた呉さん。志を同じくする仲間たちが学内で同性愛や歴史的建築物の保護などさまざまな問題について議案を出していた。「当時、フェイスブックは発展途上だったので、何かを伝えるにはお金が必要な今とは違い、個人のページで意見を発表すれば本当に何でも見てもらえました。『誰でも15分間は有名になれる』という言葉は現実のものになっていたのです」

⎯  続きを読む  ⎯

あわせて読みたい