注目ポイント
演出家の野田秀樹さんと英国が誇る世界的なロックバンドQUEENのコラボレーションで生まれた舞台「Q:A Night At The Kabuki」の公演が25日から台北市の国家戯劇院で始まりました。松たか子さんをはじめ、上川隆也さん、広瀬すずさん、志尊淳さんら日本の豪華俳優陣が出演することで話題を呼んでいる舞台ですが、上演場所である国家戯劇院は、台湾の舞台芸術を代表する大規模劇場。日本との縁も深い同劇場にまつわるトリビアを紹介します。
総工費は70億元以上!
国家戯劇院は台北の中心部に広がる国立中正紀念堂の敷地内にあり、自由広場を挟んで戯劇院とコンサートホールを有する音楽庁が並んでいます。1975年、蒋介石氏の死去により記念施設等の建設計画が始まり、10年以上の歳月を経て1987年に開館しました。音楽庁と合わせた総工費は、当時の額で74億元に上ったといいます。


戦後台湾を代表する建築家が設計
中国の宮廷を思わせる瓦屋根の重厚な外観と、大理石をふんだんに使った西洋式の内部空間を持つ戯劇院。設計を手がけた楊卓成氏は、蒋介石氏を記念する中正紀念堂や音楽庁、台湾第1号の5つ星ホテル「圓山大飯店」など、戦後の台湾を代表する建築を数多く手がけた建築家です。
戯劇院は1500人規模の客席を持つプロセニアム・アーチ型の大劇場と200席前後の実験劇場のほか、図書館や芸術関連の書籍や雑貨を扱うミュージアムショップ、カフェもあり、観劇目的だけでなく、観光にも最適のスポットです。

日本との縁も深く宝塚も公演
戯劇院では毎年、台湾最大級の舞台芸術フェスティバルである台湾国際芸術祭が開かれ、世界トップクラスの海外カンパニーによる舞台も頻繁に行われています。
狂言、文楽、能の公演など日本との縁も深く、1992年には坂東玉三郎氏が「楊貴妃」を、2013年には宝塚歌劇団が公演を行いました。
ちなみに、台湾国内にはこの戯劇院のほか、洞窟のような曲面壁が特徴のオペラハウス、台中国家歌劇院(台中市)、吊り型の大きな屋根で4つのホールをつなげ、貨物船のような外観の衛武営国家芸術文化中心(高雄市)といった国立劇場が存在します。台中国家歌劇院は日本の建築家、伊東豊雄氏の設計で、そのユニークな構造からロイター通信によって「世界の9大ランドマーク」にも選ばれました。

