2022-10-25 政治・国際

英国史上初アジア系のスナク首相就任へ 政界入りわずか7年で国の最高指導者に

注目ポイント

英国で初めてのアジア系首相が誕生する。就任からわずか45日でリズ・トラス首相が辞任表明したことを受け、混乱を招いた与党・保守党は、後任を決める党首選を24日に行い、リシ・スナク元財務相(42)を新党首に選出した。25日(日本時間同日夜)にチャールズ国王の任命を受け、同国では20世紀以降、最年少首相に就任する。そのスナク氏とはどういう人物なのか。

与党・保守党はトラス首相の後任選びで、出馬を表明していたモーダント下院院内総務は立候補に必要な推薦人の数が締め切りの24日までに集まらず断念。動向が注目されていたジョンソン前首相も出馬を取りやめた。

党首選を運営する保守党の「1922年委員会」は先週、党首選への立候補に議会下院の同党所属議員357人のうち100人の推薦を必要とするルールを決定。短期間で選出できるよう立候補のハードルを高めたもので、立候補できる同党議員を3名に絞った。

結局、立候補を届け出たのは保守党下院議員の過半数を超える190人近い議員の推薦を受けたスナク氏だけで、〝不戦勝〟で党首選を制した。9月の党首選では、スナク氏はトラス氏の2位に敗れた。

そもそも、9月6日に発足したばかりのトラス首相が辞任に追いやられた原因は、新政権が打ち出した稚拙な大型減税計画が招いた市場の大混乱だった。与党内でも信頼感も失ったトラス氏は20日朝、保守党議員から辞任を進言され、午後、官邸前での辞任表明を余儀なくされた。

党首に選ばれたスナク氏は24日、「英国が深刻な経済の課題に直面していることは疑いの余地がない。国が安定と団結を必要としている今、党と国を一つにすることを最優先に取り組む」との決意を述べた。

英国史上初のアジア系首相となるスナク氏は、アフリカから英国に移住したインド系の両親のもと、1980年にイングランド南部サウサンプトンで生まれた。父親は医師で、母親は薬局を経営する薬剤師。

ハイスクールにあたる名門私学ウィンチェスター・カレッジを卒業後、英オックスフォード大学や米スタンフォード大学で学び、米金融大手ゴールドマン・サックスなどに勤務。2015年に下院に初当選し、政界入りした。

ジョンソン政権のもとで2020年、39歳という異例の若さで主要閣僚である財務相に抜擢された。だが、ジョンソン首相の不祥事が相次ぎ、それに抗議する形で財務相を辞任。それを機にジョンソン政権は一気に崩壊に追い込まれた。

初当選から7年でスピード出世を遂げたスナク氏は、経済分野では実績があるが、外交や安全保障政策はほとんど未経験で、指導者としての手腕は未知数。

財務相としては、コロナ禍で政府が緊急対応を迫られる中、外出制限で営業不能に陥った事業者や、収入を失った労働者への支援など財政出動で存在感を示した。ただ、政治家としてはまだ経験不足で、国際社会でも無名の存在に近く、外交・安全保障が最大の不安材料との声が上がっている。

英国の欧州連合(EU)離脱をめぐる16年の国民投票では離脱派を支持し、一貫してその立場を取っている。

米ホワイトハウスのジャンピエール報道官は24日の記者会見で、正式にチャールズ国王の任命を受けるまでは、祝福のコメントは控えるとしたうえで、「バイデン大統領は数日のうちにスナク氏と会話し、今後も英国と緊密に協力していくことを楽しみにしている」と述べた。

一方、スナク氏がインド系移民2世であることから、インドのモディ首相は同日、「心から祝福する。緊密に協力することを期待する」とツイッターで表明。24日はヒンズー教の祝祭「ディワリ」だったことから、モディ氏は、「歴史的関係を現代の協力関係に変えていく中で(インド人と英国に住むインド系の人々の)『生ける懸け橋』にディワリの特別な祝福を」とのメッセージを寄せた。



 

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