2022-10-25 観光

台北女子図鑑―台南女子と台北女子、化粧はどう違う?―

© 台北女子図鑑オフィシャルサイトより

注目ポイント

東京女子図鑑をリメイクした台北女子図鑑の放送がDisney+で先月スタートした。地方出身の女性が大都会で仕事や恋愛に悩みながら現代的な女性に成長していくドラマだが、ドラマで使われたロケ地は、台北観光しようとする人にとって、目が離せないところばかりだ。

台南永康区と台北永康街

一流国立大学や大企業本社などが進出し近代的な街並みが続く永康区は台南市の南西にある。新旧が入り交じるこの街は、ドラマの中では何もない退屈な田舎として描写されている。台北の永康街はご存じの通り、鼎泰豐本店やマンゴーかき氷店があり、すぐ目の前に台北101が見える大都会の中心ともいえる町である。台南永康区から上京(中国語で「北漂」という)した一人の女性が台北永康街に住みながら仕事や恋愛で成功して都会の女になろうと奮闘する。主人公の林怡姍(桂綸鎂)は最初永康街に住むが、仕事につまずいたり恋愛がうまくいかなかったりするたびに、永和や東区などに引っ越しをする。そして引っ越すたびに付き合う男性が変わっていく構成となっている。東京女子図鑑の主人公も三軒茶屋、恵比寿、銀座、豊洲、代々木上原というように住むところをランクアップさせながら高みに上るのだが、台北はこのような概念がある町が少なく、仕事場や家のある場所で主人公のステイタスや心理を描写するのは難しく、台北版の作者の苦労がしのばれる。

東京女子図鑑も台北女子図鑑も根底にあるのは、女性の幸せとは等身大の場所で家族を持つことなのか、きらびやかな都会の真ん中でキャリアを積むことなのか、或いはハイスペックな男を見つけて引っ張りあげてもらうことなのか、という古くて新しい根深いテーマなのだ。

あなたがこのドラマの主人公ならどの生き方を選びますか。

台北女子図鑑オフィシャルサイトより

第1話の炎上がブレークのきっかけ?

第1話では台南を出て台北の大学に進学したい主人公林怡姍が母親に「台南にはいい大学がない」と言ってしまう。わざとレトロにデザインされた台南のおしゃれな喫茶店を田舎臭くて古い喫茶店として描いている。低い建物の映像を見せることで視聴者に台南には何もないと思わせる。主人公が台北の会社で面接試験を受けたとき、担当の女性から「あなた、台北出身じゃないでしょ。化粧が違う」と言われる。台北の人は他人に関心がなく冷たいと言う。台中のお土産(裕珍馨)を台南のお土産として扱うなどなど、同じ永康という地名でもこんなに違うということを強調したいがあまり、ドラマ描写のいくつかがSNSで大炎上してしまった。この炎上を受けて、台北女子図鑑が話題に上り、多くの人が興味を持つようになった。意図的かどうかわからないが、いわゆる炎上商法である。ちなみに、気になったので筆者は自分の日本語クラスの生徒10人(20~50歳代の台湾女性)に、「田舎と都会で化粧は違うか」と聞いてみたら、みんな「見た目じゃわからない。たぶん違わない。でもファッションは違う。それよりもなによりも台南は田舎じゃない」と言っていた。

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