2022-11-14 調査データ

コロナ禍における現状に対する実感

注目ポイント

本調査が開始された9月2日では、全国のコロナウイルス新規感染者数は約13万人/日となっており、一時は26万人/日を超え、第7波のピークをむかえた先月8月から、急速に収束に向かっている。ウィズコロナ下において、政府による観光産業の復興に向けた動きも加速する中、国民の現在の認識、景況感、消費意欲には、前回調査時点と比べどのような変化が見られるだろうか。 本レポートでは、現状に対する実感、コロナウイルスの深刻度、消費財に対する予算の変化について年代・カテゴリー別にアンケート調査を行い、コロナワクチンの接種状況にも注視した上、日本の一般消費者が現状をどのように感じているかについて考察した結果をまとめる。

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第7波収束の兆しでも、国民の現状に対する認識は依然として厳しい

過去1年間の日本の状況に関する実感では、依然として半数以上の人が「悪化している」と認識しており、また、今後1年間の展望に関しても「悪化する」と予想する人の割合が先月から微増し、その割合は47%と、半数近い人が悲観的である。「第7波」の収束の兆しが見え始めたものの、終わりの見えない物価高に対する懸念が、心情の改善を阻んでいるものと思われる。

コロナワクチンの接種状況

本調査時点で、コロナワクチンを3回以上接種した人は全体の66%となり、前月より2pt増加した。5月25日より、接種対象者(高齢者及び、基礎疾患を有する方)を限定して、4回目の接種が開始されているが、4回目の接種完了者は、先月より4pt増加し、全体の6%となっている。

 

日本国民のコロナウィルスに対する警戒心は軽快の兆し

新型コロナウイルスの現状について、「非常に危険だ」と感じている人(T3B)は、先月調査より10ポイント減少し、非常に深刻に捉えている人は全体の約3割となった。一方、「それほど深刻ではない」と感じている人(B3B)は1ポイントの微減にとどまった。「第7波」の感染収束が見通せるようになり、コロナウィルスに対する認識にやや好転の兆しが出てきている。

全体を通して消費意欲の減退がみられる今後1か月の支出予算

今後1ヵ月間の消費支出予想では、17%が消費の増加、24%が減少を見込んでおり、依然として、予算の減少を想定している人の方が多いものの、先月と比較して、消費意欲の緩やかな改善がみられる。この傾向は、すべての年代で共通となっている。

商品カテゴリー別にみると、40代~50代では、「旅行」や「外食/娯楽」を手控える傾向に変わりはないが、特に、16-29歳の若い年齢層では、消費の増加を想定している人が減少を想定している人を上回り、先月から消費意欲の大幅な改善がみられる。

 

「第7波」収束に向け明るい兆しが見られる中で、インバウンド再開に向けた政府による訪日観光促進への取り組みが行われ、外国人観光客の受入れ対応に関するガイドラインの緩和により、観光産業の復興に向けた動きが加速している。

今回のアンケート結果から、日本国民のコロナウィルスに対する深刻度、消費意欲共に全体を通して多少の好転が見られるが、足元の物価高など懸念材料が重しになっている様子が伺える。またコロナワクチンの接種者数は接種者数は3回目、4回目ともに前月より微増しているが、それが及ぼす影響は心理面に関して限定的と見られる。こうした状況の中で、各種業界における事業の意思決定者には、日本の一般消費者の心情の変化を踏まえ、事業計画の策定をしていくことが望まれる。

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