注目ポイント
高雄の加工輸出区(EPZ、Export Processing Zone、輸出加工区)、現在の「前鎮科技産業園区」の製品陳列室。中南米地域の友好国から訪れた来賓が、展示された過去の製品を指さして「ああ、このポータブルステレオは、子供の頃、私も1台持っていましたよ」と声を上げた。これに対して「そうですよ。これは台湾製で、ここから輸出されていったのです」と加工輸出区管理処高雄分処に勤務して20年を超える広報担当の丁世徳が答えた。
ここより数年遅れて設立された楠梓加工輸出区では、事務棟と荘敬堂は沈祖海が設計した。シャープな印象の車寄せのデザインや、荘敬堂の屋根を支える楕円形が、新しさを感じさせる特徴となっている。
工場は企業のニーズによって絶えず改築や拡張を続けてきたが、台湾経済の成長の記憶を残すには実物を保存しなければならない。例えば、製品陳列室に展示された当時の製品や、これら半世紀を超える建築物などが歴史の証人となる。「かつて私たちは経済発展を重視し、その一方で環境や文化の価値にはあまり目を向けてきませんでした。しかし現在、当時の歴史を振り返ると、台湾の経済成長とともにあった記憶を保存してこそ、当時の苦労に満ちたプロセスを思い起こすことができるのです」と呉大川は言う。
昨年(2021年)、高雄加工輸出区は正式に看板を下ろし、新たに「前鎮科技産業園区」の看板がかけられ、新たな時代へと再スタートを切った。呉大川は、彼自身と加工輸出区の物語を話してくれた。彼は生まれも育ちも高雄で、しかも高雄加工輸出区が誕生した年に生まれた。しかし、その輝かしい歳月に彼自身が参加するには間に合わず、加工輸出区で働いていた人々が、当時の栄光を話すのを耳にするだけだった。3年前、呉大川は高雄分処の分処長に就任したが、そのタイミングはまさに加工輸出区の転換期にあたり、また前瞻創新ビルも完成した。「かつての加工輸出区に私は参加できませんでしたが、今は私の学んだことを生かして過去の『加工輸出区』、現在の『科技産業園区』を再びテイクオフさせたいと考えています」と言う。
過去から将来までを見渡し、楊伯耕はこう話す。「加工輸出区は台湾経済において多数のマイルストーンを立てました。台湾は『経済を深耕し、世界へ出ていく』という発展への道を歩み始め、名称を『科技産業園区』に変更してからは、産業のグレードアップに力を注いでいきます。スマート製造とサステナビリティの方向へと向かい、『イノベーション』が牽引する新たな時代へと歩んでいきます」










転載元:台湾光華雑誌