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中国共産党の習近平総書記(国家主席)は今週、第20回党大会での政治報告で、「経済発展が最優先事項」だとし、民間企業や外資系企業について、「いささかも揺るぐことなく発展を奨励、支援、リードする」と表明。今後も外資の参入を求めていく考えを示した。その一方、党・政府が経済に深く関与する、国家資本主義的な色彩は隠せていない。
習国家主席は今週、「より質の高い」成長と国家の自給自足の必要性を強調。2002年の江沢民氏以来、全ての党指導者が党大会の演説で強調してきた「経済発展最優先」というお決まりの表現を踏襲した。
習氏の方針を受け、国家発展改革委員会の趙辰昕副主任は17日の記者会見で、「中国はより質の高い経済成長と、内需の促進に焦点を当てながらも、引き続き世界経済に門戸を開く」と明言。より多くの国内生産と消費を必要とする「二重循環」経済は、中国がグローバル化から縮小するという意味ではないと強調した。
趙氏は、「一部の国はサプライチェーンから分離し、高い壁で囲まれた小さな庭を造ろうとしている」と批判した上で、「われわれは開放性と協力が歴史的な傾向であり続けると信じている」と述べた。
同氏はまた、中国が自給自足の経済を目指しているという見方は、中国の戦略に対する誤解だと釈明。「門戸が閉ざされた状態で発展する国はない」とし、中国はすでに多くの国と深く相互依存し、内需と外需は相互に依存しているとした。
中国が今年、外国からの投資を奨励する産業のリストを発表したことに触れ、趙氏は投資を呼び込むために、より多くの優遇措置を提供すると述べた。
だが、海外からの入国に際して、いまだに継続している中国の厳格な「ゼロ・コロナ」政策が、外資系企業の参入を抑制しているかについての質問には答えず、「企業が中国に来て、中国の発展の成果を分かち合うことを歓迎する」と述べるにとどまった。
経済見通しについて、趙氏は今年の第3四半期に大幅な回復が見られ、主要な指標が改善したと指摘。「インフレは穏やかで、雇用情勢は安定している」と語ったが、その一方で経済が複数の逆風を受けていることを認めた。「内外環境の変化を受け、経済運営には、まだいくつかの解決されていない矛盾や問題がある。経済発展は多くの困難や課題に直面している」と述べた。
ロイター調査によると、中国の第3・四半期国内総生産(GDP)成長率は前年同期比3.4%で、前期の0.4%から加速する見通しだとしている。ただ、今年の年間成長率は、新型コロナが当初流行した20年を除けば、1976以来の低成長となる見込みだ。
そんな中、中国政府は18日に発表を予定していた第3・四半期のGDPなど、経済指標の発表を延期した。延期理由は示していない。また、14日に予定されていた9月の貿易統計の発表も行われず、見送った理由も明らかにしなかった。