注目ポイント
「季節の『おいしい』を探す台湾市場めぐり」は、台北在住の料理家でライターの遊佐水亜さんが、台湾各地に残る歴史ある市場やファーマーズマーケットを舞台に、季節のおいしい食材や台湾らしいユニークなモノやコト、その楽しみ方を紹介する月イチ連載。初回は台北市内の人気観光スポット、永康街からほど近い東門市場を取り上げます。
はじめまして! 連載「季節の『おいしい』を探す台湾市場めぐり」を担当することになりました、遊佐水亜です。本業はライターですが、唎酒師、ワインエキスパート、薬膳マイスターの資格を持っていて、料理やお酒にまつわるさまざまな活動もしています。
また国内外の旅が好きで、旅先で市場や専門店を巡り、学んだ料理を再現してお酒とともに味わうのもライフワーク。本連載では、台湾の魅力あふれる市場やファーマーズマーケットを、その季節のおいしいものとあわせてご紹介していきたいと思います。

上質な食材があつまる伝統的なマーケット
観光スポット・永康街にもほど近い東門市場は、古い歴史を持つ伝統市場。クオリティの高い食材が集まる「美食市場」として知られています。平日の朝や週末の午前中は特ににぎやかで、行くたびにエネルギーをもらえる、大好きな場所のひとつです。
私自身は週末の午前中に夫とふたりで訪れることが多いのですが、ぐるりと歩きまわって野菜やお肉、魚介のラインナップをチェックした後、気に入ったものだけそれぞれのお店で購入。最後に小吃と呼ばれる台湾のローカルフードやテイクアウトグルメを買って帰り、おうちでゆっくり食べるというのが定番のコースです。

朝ごはんにおやつに、名物グルメを味わって
屋根のある市場の中心部では、早朝からお昼すぎまでたくさんの専門店が営業していて、朝ごはんやお惣菜、おやつを味わうことができます。
昔ながらの豆花(豆乳を使った台湾のデザート)、蔥燒餅と呼ばれる焼きまんじゅうのようなおやつ、パック売りの点心にあつあつの貢丸(肉だんご)…。あたりにはよい香りが漂い、歩いているだけでお腹がすいてくるほど!
日本と似ているようで少し違う? 台湾の季節食材
少しずつ気温が下がり、やっと秋を感じられるようになってきた台北。市場には旬の味覚が出まわり、「今日は何をつくろう?」とワクワクしてしまいます。

台湾の秋の食材は日本のそれと少し似ていますが、きのこ類のなかにフクロタケがあったり、栗と一緒に菱角(リンジャオ、木の実の一種)が並んでいたり、魚の切り身の形や下処理の方法が違っていたりするのがおもしろい! 市場では、店主さんにおすすめや調理法を聞くのも、おいしい旬のものを手に入れるのに有効だったりします。

青果店では、梨、りんご、ぶどう、柿などこの時期らしいフルーツをたくさん見かけました。 秋冬に向けておいしくなるパパイヤが店頭にどっさり積まれているのも台湾らしい光景。薬膳の考え方では、これらの果物は肺をうるおしてくれるため、乾燥しがちな秋に食べるとよい、とされています。安くておいしくてそのうえ健康にもよいなんて、うれしいですよね。
市場は東西に広がっていて、場外にも個性あふれる専門店や食べもの屋台がずらり。おみやげにできそうな調味料、乾物類、お菓子なども手に入るので、ぜひ一度足を運んでみてくださいね。