2022-10-21 観光

起業家精神が高い台湾ならでは 「工作室」という花屋ビジネス

© Photo Credit: Shutterstock / 達志影像

注目ポイント

台湾の花屋は、日本のような実店舗を持たず、ネット販売やレッスンで生計を立てる「工作室」と呼ばれるスタイルが多い。仕入れ方法や来店率の違いなどから、工作室と一般の花屋それぞれでメリット、デメリットはあるものの、工作室は低予算で始めやすく、大きなビジネスチャンスもある。

花屋と一括りに言っても、それぞれの店によって販売商品やサービスは大きく異なる。そして、台湾の花屋の場合は「工作室」が比較的多いように感じる。

「工作室」とは、日本の一般の花屋のような店を持たず、マンションの2階以上の部屋や自分の部屋をアトリエとして使用し、主にネット販売やレッスンで生計を立てている店である。私の場合は1階に店を構え、切花だけでなく観葉植物や胡蝶蘭や資材なども取り扱っている。

いわば日本人が想像する一般的な花屋であるが、こういった形態の花屋は台湾では珍しい。日本でもアトリエで花を教えたり販売している方も近年増えてきているが、台湾の「工作室」の量は日本に比べはるかに多い。今回は、そんな台湾の「工作室」と「一般の花屋」の違いについて紹介する。

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花の在庫とロス

まず、仕入れロス(売れ残りの花)については、「工作室」が圧倒的に有利である。理由は、必要な時に必要な分だけ仕入れれば良いからだ。例えば、数日後に花束の注文があるならば、配送日の前日または当日に市場に行き、必要な本数だけ仕入れて製作する。そうすることにより、花のロスを極限まで減らすことができ、花材の在庫を持たなくて良くなる。

一方で、「一般の花屋」の場合は、いつ注文が来るか分からないものの、いつでも対応できるように店内には様々な種類の花を用意しておく必要がある。もし注文が来なければ、せっかく仕入れた新鮮な花も、全て破棄しないといけないうえ、花の処理にかかる時間や水替えの時間など、時間的なロスも大きい。

だが、「一般の花屋」はこのようなデメリットだけではなく、当然メリットもある。お客様が急遽花が必要な場合でもすぐに注文ができたり、いつお客様が来店しても店内にはたくさんの綺麗な花があるということは、お客様にとっての安心感に繋がる。また、直接お客様とコミュニケーションを取る事で、よりお客様のイメージに近い商品を提供できたり、店側もお客様の笑顔や喜びを肌で感じる事ができる。

私のレッスンではお客様自身に花の組み合わせを考えてもらうことも勉強の一つだと思っている。生徒に組み合わせを考えてもらうにも、常に多種多様な花や葉物が必要である。そういった面でも店舗型でよかったと思うことは多々ある。

 

台湾人の来店率

だが、そうは言っても私自身も「工作室」に切り替えようと思ったことは幾度となくある。それは、仕入れロスやコストについての金銭的、時間的な問題だけではなく、台湾人と日本人の文化の違いに起因する来店率の違いによるものである。

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