注目ポイント
台湾へスモールスタートで進出して失敗する企業は、結果を急ぎ過ぎている。その過ちを犯さないためにはニッチなファンを獲得し、顧客と継続的な関係を維持するためのリテンションマーケティングに取り組むべき。台湾で起業した日本人経営者が、台湾に進出した日系起業が陥りがちな失敗事例と対策を解説する。
みなさんこんにちは!台湾で2017年に起業し、2022年9月に台湾起業6年目を迎えた applemint 代表の佐藤峻です。
今日は僕が台湾で起業してから現在に至るまでに見た、台湾に進出した日系企業の失敗事例をご紹介します。
もっと具体的なお話をすると、スモールスタートで進出した日系企業が、ことごとくうまくいっていないという事についてお話をしたいと思います。スモールスタートとは、最初に最低限のサービスをローンチし、反応が良かったサービスを軸に事業を本格化させる手法のことを指します。
一見とても合理的で、リスクが低い賢いやり方に見えるのですが、僕が見た限りだとスモールスタートで台湾に進出した日系企業はことごとくうまくいっていません。
その理由は、スモールスタートする企業のマインドに問題があると僕は思っています。ではそのマインドとは何か?どうすればスモールスタートでも台湾でうまくいくのか?
今日はそんなお話をします。資金が潤沢にないけれども今後台湾に進出をしたいと考えている中小企業の方に是非読んで頂きたい内容です。
結果を急ぐスモールスタート企業
いきなり結論から言います。台湾にスモールスタートで進出して失敗する企業は、結果を急ぎすぎて失敗していると僕は思っています。
一つ一つ順を追ってお話しします。まず、スモールスタートを始める上で意識しないといけない事は二つあります。
1.仮説を立てる
2.立てた仮説を検証する
例えば、 “applemint株式会社” という会社が、台湾に進出をする事になったとします。この会社は、台湾が一年を通して比較的暖かい事を理由に、台湾と気候が似ている沖縄でよく売れているAとBの商品を台湾で売る事にしたとします。しかし予想に反して、AもBも中々売れなかったとします。こんな時に、なぜ売れないのか仮説を立てて、仮説を検証する必要があります。
仮説を立てるタイミングや調査対象者の人数は、SurveyMonkey という会社が出している、標本サイズ計算というツールを使うと算出できます。しかしこのツールを使って統計的に適切な人数を相手に仮説の検証を繰り返すと、かなりの費用がかかる事がわかります。
残念ながらスモールスタートする会社には大抵そんな資金はありません。また、スモールスタートする会社はローリスクで早く売れる商品を見つけ出して、軌道に乗りたいので結果を急ぎます。
その結果、台湾でスモールスタートする多くの企業は、統計的な概念を無視してデータと格闘し、担当者の感覚で事業が進む事が多いです。結果を急ぐあまり、データの正確な検証より、少ないデータから主観的に検証する事がスモールスタートする企業を失敗に導きます。