2022-10-19 経済

【台湾進出スモールスタートの罠】軌道に乗ってからギアを上げようとする企業が軌道に乗れない理由

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注目ポイント

台湾へスモールスタートで進出して失敗する企業は、結果を急ぎ過ぎている。その過ちを犯さないためにはニッチなファンを獲得し、顧客と継続的な関係を維持するためのリテンションマーケティングに取り組むべき。台湾で起業した日本人経営者が、台湾に進出した日系起業が陥りがちな失敗事例と対策を解説する。


みなさんこんにちは!台湾で2017年に起業し、2022年9月に台湾起業6年目を迎えた applemint 代表の佐藤峻です。

今日は僕が台湾で起業してから現在に至るまでに見た、台湾に進出した日系企業の失敗事例をご紹介します。

もっと具体的なお話をすると、スモールスタートで進出した日系企業が、ことごとくうまくいっていないという事についてお話をしたいと思います。スモールスタートとは、最初に最低限のサービスをローンチし、反応が良かったサービスを軸に事業を本格化させる手法のことを指します。

一見とても合理的で、リスクが低い賢いやり方に見えるのですが、僕が見た限りだとスモールスタートで台湾に進出した日系企業はことごとくうまくいっていません。 

その理由は、スモールスタートする企業のマインドに問題があると僕は思っています。ではそのマインドとは何か?どうすればスモールスタートでも台湾でうまくいくのか?

今日はそんなお話をします。資金が潤沢にないけれども今後台湾に進出をしたいと考えている中小企業の方に是非読んで頂きたい内容です。

 

結果を急ぐスモールスタート企業 

いきなり結論から言います。台湾にスモールスタートで進出して失敗する企業は、結果を急ぎすぎて失敗していると僕は思っています。

一つ一つ順を追ってお話しします。まず、スモールスタートを始める上で意識しないといけない事は二つあります。

1.仮説を立てる

2.立てた仮説を検証する


例えば、 “applemint株式会社” という会社が、台湾に進出をする事になったとします。この会社は、台湾が一年を通して比較的暖かい事を理由に、台湾と気候が似ている沖縄でよく売れているAとBの商品を台湾で売る事にしたとします。しかし予想に反して、AもBも中々売れなかったとします。こんな時に、なぜ売れないのか仮説を立てて、仮説を検証する必要があります。

仮説を立てるタイミングや調査対象者の人数は、SurveyMonkey という会社が出している、標本サイズ計算というツールを使うと算出できます。しかしこのツールを使って統計的に適切な人数を相手に仮説の検証を繰り返すと、かなりの費用がかかる事がわかります。

残念ながらスモールスタートする会社には大抵そんな資金はありません。また、スモールスタートする会社はローリスクで早く売れる商品を見つけ出して、軌道に乗りたいので結果を急ぎます。

その結果、台湾でスモールスタートする多くの企業は、統計的な概念を無視してデータと格闘し、担当者の感覚で事業が進む事が多いです。結果を急ぐあまり、データの正確な検証より、少ないデータから主観的に検証する事がスモールスタートする企業を失敗に導きます。

 

短期的に結果の出る施策に集まる競合

結果を急ぐと客観的にデータと向き合えない他に、競合との熾烈な争いに巻き込まれ結果が更に出にくい事があります。例えばデジタルマーケティングには、短期的に結果が出やすい施策と、長期的に効果が出る施策があります。 

台湾で短期的に結果が出やすいデジタル施策は、Facebook 広告です。台湾における Facebook 広告のアクティブユーザー率は世界でも類を見ないほど高く、80%以上あります。

参考:https://datareportal.com/reports/digital-2022-taiwan

Facebook は台湾で高い使用率に支えられ、広告を出せば割と売れる媒体として知られています。この事は台湾でデジタル広告をする会社なら誰しもが知っています。スモールスタートする企業の多くは、前途したように結果を急ぐ傾向にあるため、必ずと言っていいほど Facebook 広告をします。

しかし Facebook 広告には台湾でスモールスタートする企業の他に、資本力のある企業も広告を出します。 Facebook 広告の値段はオークション形式で、広告を出す広告主が多ければ多いほど広告単価が高くなる傾向があります。

つまり、台湾で短期的に結果を求めようとすると、明らかに分が悪い Facebook 広告で資本の大きい企業と競争をする事になり、結果がいつまで経っても出ない事は多々あります。

 

スモールスタートする企業が台湾で生きる道

それでは、台湾でスモールスタートしたい企業はどうすればいいのでしょうか?僕の考えは、急いで結果を求めないという事です。バズることや突然の売上UPに期待するのではなく、ニッチなファンを獲得する方がいいと僕は考えます。ニッチなファンの獲得を目指すとどうしても売上規模は小さくなりますが、リテンション(顧客維持)は上がるはずです。

そもそもスモールスタートしているのに、ビッグなリターンを期待するのが間違っていると僕は思います。

それなのに、多くの企業は少ない投資で大きなリターンを期待し結果が出ないと責任者を批判し、責任者は結果を急ぐ悪循環に陥ります。しかし振り返ると、大部分のブランドはスモールスタートから始まっているはずです。皆最初は資金が少ない中でスタートし、一部の熱狂的なファンを獲得してそれが徐々に広がって大きくなっているはずです。

台湾事業に携わる全ての方は、改めて自分の会社が0から成長するまでの歴史を学び、成長の過程を因数分解して、台湾事業に適用する事が求められるでしょう。

また、少ない投資で大きなリターンや短期的な結果を求めるような考えは捨て、スモールスタートするならその投資に合ったリターンと成長速度を再度定義する必要があると僕は考えます。

 

以上 applemint 代表佐藤から、台湾でスモールスタートする企業が軌道に乗れない理由についてでした。

 

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