2022-10-14 政治・国際

「62年キューバ危機以来、最悪の核脅威」 窮地のプーチン氏が戦術核を使う可能性

© Photo Credit: Reuters /達志影像

注目ポイント

米国のバイデン大統領は、ロシアのプーチン大統領がちらつかせる〝核の脅し〟はまやかしではないとし、大規模な核戦争へとエスカレートする危険性は1962年10月のキューバ危機以来、最悪のレベルにあると警告した。一方、ロシアは〝終末兵器〟と呼ばれる原子力核魚雷・ポセイドンの実験を計画しているという情報も浮上した。

その上でバイデン氏は、「われわれはプーチンの落としどころがどこなのかを探っている。出口はどこなのか、彼が面目を保ち、力を固持したままの状態での着地点だ」と説明。その上で、「戦術核兵器だけを安易に使い、ハルマゲドンに至らないやり方などありえない」とし、重大な懸念を示した。

軍事専門家は、ウクライナ侵攻でのロシアの惨憺(たん)たる戦績を考えると、プーチン氏が核兵器に頼らざるを得ないという選択肢が浮上すると指摘。ポセイドン魚雷のように広範囲を破壊し、人が住めない環境にする能力を持つ兵器ではなく、使用するとすれば戦術核だという。

「戦術核」とは戦場単位で通常兵器の延長線上での使用を想定した核兵器で、小型核とされる。だが、近代化された戦術核の規模は、1945年の広島・長崎クラスの核爆弾より破壊力があるとされる。一方、「戦略核」とは、一般的に戦術核兵器よりも高威力で、敵国の軍事基地や行政機関、人口密集地、エネルギープラントなどの比較的大規模な目標の破壊を目的とする核兵器とされる。

専門家によると、ロシアは戦術核兵器により、ウクライナの反攻を即座に阻止し、ウクライナ政府を交渉のテーブルに引きずり出すことを目論んでいるという。

豪州政府のシンクタンク「オーストラリア戦略政策研究所」のマルコム・デービス上級防衛分析官は豪テレビ局「スカイ・ニュース」の取材に、「プーチン氏は追い詰められている」と指摘。「ロシアは急速に(ウクライナで占領した)領土を失い、敗北に直面しており、それは彼の終わりを意味する。そうなると、(核兵器の使用が)現実となる可能性があり、われわれがすべきことは、それを阻止するための抑止力を高めることだ」と結んだ。



 

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