注目ポイント
「肉圓(バーワン。肉餡を澱粉粉の生地で包んだ料理)は揚げたものと蒸したもののどちらが好みか。ソースは濃厚なものとさっぱりしたものの、どちらが好きか」——肉圓の好みから、台湾人の出身地域が推測できる。肉圓を食べ終えたら、その椀に四神湯か豚骨スープを入れてもらい、器に残ったソースとスープが溶け合ったところを味わうというのが通の食べ方だ。

文・謝宜婷 写真・林格立 翻訳・山口 雪菜
肉圓(バーワン。肉餡を澱粉粉で包んだ料理)が生まれたのは彰化県の北斗である。清の時代に重要な内陸港だったここは、南北の物資の集散地で、乾物も豊富だった。地域の人々は同じ信仰をもって神明会を組織し、故郷の軽食「粉丸」を作った。それが現地でしだいに発展し、現在の肉圓になったのである。

肉圓の皮と餡とソース
北斗と彰化市内の肉圓はどちらも油で揚げたものだが、揚げ加減が違う。北斗のものは先に蒸してから揚げ油に入れ、低温の油の中をじっくり泳がせ、火が通って浮いてきたら、取り出して押して油を切る。皮はつやつやしている。彰化市内の肉圓は高温の油でからっと揚げるので、皮はサクサクしている。
外観を見ると、北斗の肉圓には指でつまんだ跡がある。餡を包む時、型に澱粉粉の生地を入れ、餡を入れて再び生地を入れて押し、手でつまんで取り出して蒸篭に入れるからだ。彰化市内のものは餡を椀に入れて蒸す。
北斗肉圓の餡には角切りのタケノコが入っていることが多い。店によって蒸したものや炒めたものが入っている。タケノコの生産量が少ない時は代わりに大根を入れることもある。豚肉は弾力のある肩肉や腿肉を使い、下味をつけて冷蔵庫で一晩寝かせてから包む。
ソースは肉圓の味を決める。北斗肉圓のソースは米粉汁をベースとし、店によって味付けは異なる。北斗の「肉圓瑞」や「肉圓賓」では豆鼓(トウチ)を入れる。前者は五香粉とネギとショウガ、後者は胡椒や甘草(カンゾウ)などを加えて風味を出すのが北斗肉圓の特徴だ。

北斗の肉圓街
北斗の肉圓店は、かつては奠安宮と土地公廟の付近に集中していて、経営者の多くは范家か楊家の人だった。台湾の食文化を研究する北斗の青年、顔震宇によると、これら肉圓店の経営者の多くは同じ神明会に属していて、現在の「肉圓生」の2階には今も「三山国王」を祀っており、神明会のメンバーは肉圓の作り方や店の経営について経験をシェアしているという。
顔震宇が北斗の肉圓店を訪ね歩いた時、范家には店を出す前から肉圓作りの伝統があったことを知った。が、当時は肉入りと肉なしの2種類があったそうだ。肉なしの方はタケノコと香辛料にサツマイモの粉を加えて塊にし、それを茹でるというものだった。これは福建省泉州の「粉丸」に似ている。先人たちが台湾に渡ってきた後、粉丸は変化して発展し、タケノコと豚肉を合わせ、最後に特製のソースをかけるという現在の台湾のスタイルになったようだ。