注目ポイント
京都橘高校マーチングバンド(オレンジの悪魔)は10月10日午前、外国の楽団として初めて総統府の前でパフォーマンスを披露した。橘高校は先だって蔡英文総統や台北第一女子高校を表敬訪問、双十節(建国記念日に相当)当日は台湾中で注目を集め、その笑顔は見る人に感動を与えた。
外国勢として初めて双十節に招待されたオレンジの悪魔
2011年に発生した東日本大震災の後、当時のレートで200億円以上の義援金が台湾から寄付された。その感謝の意味を込めて日本は10周年に当たる2021年を日台友情の年に指定し、台湾も双十節の特別ゲストとして橘高校吹奏楽部を招待した。しかしコロナ禍で断念、ようやく今年日台友情の渡航が実現したのである。橘のスーザフォンに「日台友情」の文字を入れたのはこのためである。
橘高校吹奏楽部一行、教師5名、部員88名は10月5日に桃園空港に到着、翌6日の午前、台北のグランドホテル(圓山飯店)でフラッシュモブを披露し、見物客に感動を与えた。同日午後、台北第一女子高校(北一女)を訪問し、交流を温めた。北一女は名門女子高なので原則男子禁制なのだが、橘高校の男子部員は例外的に幸運にも入校できた。7日朝は総統府の見学、その時、蔡英文総統がサプライズ登場した。夜は、日台交流協会設立50周年を記念して国家音楽庁において「日台友情音楽の夜」を開催し、橘高校吹奏楽部も特別ゲストとして演奏した。
双十節祝賀式典では「剣士の入場」「スーパーマリオ」「愛の讃歌」など6曲を披露、蔡英文総統も手を振ったり拍手をしたりして讃えていた。特に4曲目の「The Sing」ではリズミカルで軽やかな一糸乱れぬダンスと見事な演奏で本領発揮、観衆から大きな拍手をもらった。
橘高校吹奏楽部
台湾のマーチングバンド
台湾では10月10日の双十節に多くの学校のマーチングバンドが参加する。しかし今年もコロナの影響で規模が縮小され参加校は京都の橘高校と北一女、台中の暁明中学の3校だけだった。
北一女は日本時代には台北第一高等女学校と呼ばれ、台湾で一番成績の良い日本人女子生徒が入学する学校であった。今でも台湾トップの女子進学校である。北一女のマーチングバンドの特長は、模造小銃をバトントワラーのようにぐるぐる回したり高く放ってキャッチしたりする高難度のパフォーマンスをする儀隊を持っていることである。最近はそれに加えて旗を振る旗隊も新たに創設され、より華やかになった。暁明中学は全国学生音楽コンテスト中学マーチングバンド部門で12年連続優勝し、今年念願の双十節参加を果たした。式典ではストリートダンサーとコラボした素晴らしい演奏を披露し立派にトリを務めた。
橘高校のように吹奏しながら笑顔で元気いっぱいにダンスをするのは今までの台湾にないタイプで、台湾でマーチングバンドをする学生にとっていい刺激になったと同時に、橘高校の部員にとっても忘れることのできない素晴らしい経験となったはずだ。