2022-10-06 政治・国際

日本列島上空を通過した北朝鮮ミサイル 「発射実験で知っておくべきこと」とは

© Photo Credit: Reuters /達志影像

注目ポイント

北朝鮮は6日午前6時ごろと同6時15分ごろ、再び弾道ミサイルを2発発射した。それぞれ日本海の排他的経済水域(EEZ)外の北朝鮮東岸付近と日本海に着弾したとみられる。北朝鮮は4日午前にも弾道ミサイルを発射。このミサイルは青森県付近の上空を通過し、日本列島の東約3200キロの太平洋上に着弾した。同国は今年すでに24回ミサイルを発射し、金正恩体制の10年間で最多となった。

4日に北朝鮮によるミサイルが発射された際には、北海道や青森県では国民に危険と避難を呼びかけるJアラート(全国瞬時警報システム)が鳴り響いた。北朝鮮が発射したミサイルが日本上空を通過するのは4日のミサイルで7回目となり、2017年9月以来。

一方、国連安全保障理事会は、北朝鮮による4日の弾道ミサイル発射を受け、米国の要請により、北朝鮮への対応を協議する緊急会合が5日午後(日本時間6日午前)に開かれたが、欧米各国と中国やロシアが対立し、一致した姿勢を示すことはできなかった。

中国とロシアの国連次席大使はいずれも、「米国が朝鮮半島周辺で日本や韓国と軍事演習を行い緊張を高めた結果だ」などと主張。米国のトーマスグリーンフィールド国連大使は「2つの理事国が北朝鮮を全面的に保護し、北朝鮮のたび重なる挑発を正当化し、制裁を強化しようとする取り組みを阻止した」とし、中国とロシアを非難した上で、北朝鮮の挑発には安保理が一致して対応すべきだと強調した。

その会合の終了間際、北朝鮮は安保理の会合への腹いせのように、再び弾道ミサイルを日本海に向け2発発射したのだ。度重なる北朝鮮の愚行について、米CNNは5日、「北朝鮮のミサイル発射実験について知っておくべきこと」をまとめた。

 

【ミサイルについて分かっていること】

4日に発射されたミサイルは約20分間で約4600キロ飛行し、最高高度は約1000キロ。その速度はマッハ17で、これは音速の約17倍にあたる。北朝鮮ミサイルとしては過去最長飛距離となった。ちなみに、米空軍基地のあるグアムまでは北朝鮮から3380キロの距離にある。

専門家によると、今回発射されたのは1月にも使用された中距離弾道弾ミサイル(IRBM)の「火星12」とみられる。

「これは2017年に北朝鮮が実験を始めたミサイルだ。つまり、新しいものではない」と米ミドルベリー国際大学モントレー校ジェームズ・マーティン不拡散研究センター(CNS)のジェフリー・ルイス東アジア核不拡散プログラムディレクターは述べた。ただ、ルイス氏は飛行距離について、注目すべきもの

があるとした。「北朝鮮は大量の短距離ミサイルを保有しているが、日本列島を飛び越えてはいかない。それだけの距離を飛ぶのは少数のミサイルだ」と解説した。
 

【何が問題で、危険なのか?】

北朝鮮はこれまで通常は朝鮮半島近海に向けてミサイルを発射している。今回のような日本列島上空を飛ばすことは、軍事的にも象徴的にも挑発度が増している。このような何の通告もないミサイル発射は、周辺の航空機や船舶の安全をおびやかすものだ。

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