2022-10-02 ライフ

地球を味わうワクワクを一緒に分かち合いましょう! ―昆虫食・ジビエレストラン「アントシカダ」篠原祐太代表に聞く

注目ポイント

東京都中央区日本橋馬喰町のとあるビル。小さな看板が出ていて、その前の扉を開けると、こぢんまりとしているが、落ち着いた雰囲気の隠れ家的スペースが現れる。そこが、知る人ぞ知る昆虫食・ジビエレストラン「アントシカダ」だ。

コオロギラーメン

東京都中央区日本橋馬喰町のとあるビル。小さな看板が出ていて、その前の扉を開けると、こぢんまりとしているが、落ち着いた雰囲気の隠れ家的スペースが現れる。そこが、知る人ぞ知る昆虫食・ジビエレストラン「アントシカダ」だ。

2020年6月にオープンした「アントシカダ」。代表を務めているのは篠原祐太(しのはら・ゆうた)さん。もう一つの肩書きは「地球少年」。28才。若いといっても昆虫歴は長い。

篠原祐太さん

昆虫食歴は23~24年になる。「原っぱにいるバッタとかを捕ったり、食べたりするのが楽しかった。本格的狩猟本能でしょうか。おいしいもの食べるだけなら、スーパーに並んでいる」と篠原さんはいう。篠原さんは東京でも自然豊かな高尾山の近くで育った。

そんな昆虫好きな篠原さんだが、それを人には言えなかったという。それが変わるきっかけは、2013年に国連食糧農業機関(FAO)が発表した報告書「食用昆虫類:未来の食糧と飼料への展望」だった。育てるのに必要なエサや水が少なくて済み、温室効果ガスの排出も少なく、栄養にも富む昆虫を将来有望な食材として推奨する内容だった。

「FAOのレポートがきっかけで、昆虫食が好きだとカミングアウトできた。人生で初めて人に好きなことをさらけ出せた。一番うれしい瞬間だったし、人生で一番大きなターニングポイント。(国連がそう言ってくれたことで)初めて仲間を得た」と篠原さん。

だが、篠原さんは昆虫食をPRするときにSDGs(持続可能な開発目標)的なアプローチは取らないという。「それ(SDGs)を大義名分にするとズレが生じる。昆虫食に興味を持つ中で(SDGsを)意識する方が長続きするのではないか。まずは、目の前の生きものを体感することが第一歩として大切だと思います」と語る。

篠原さんは大学を卒業するタイミングで、本腰を入れてやっていこうと決意したという。そして色々なジャンルの人たちとコラボしてきたという。例えば、看板商品ともいえる「コオロギラーメン」は「ラーメン凪」との共作である。

昆虫食というとまだまだ偏見があり、「ゲテモノ」扱いする見方もあるのは事実だ。「ハードルはそれなり以上に高い」と篠原さんも認める。「地道な広がりが大切だと思う。口コミで広がるものを届けたい。そしてポジティブな反応を感じた時に、今までのイメージとのギャップに心動かされるー大切にしているテーマです」。

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