2022-10-02 ライフ

国産より輸入花が好まれる? 知られざる台湾の花事情

© Photo Credit: Shutterstock / 達志影像

注目ポイント

胡蝶蘭が日本以上に身近な存在で、ヨーロッパの花文化に強い影響を受けているため輸入の花が好まれる——花文化を普及させるために台湾で起業した日本人による、日本ではあまり知られていない台湾の花事情。

2022年9月現在、台湾在住の日本人は約2万人である。駐在員として派遣されている方やその家族、台湾人と結婚して台湾で暮らされている方、留学やワーキングホリデーで滞在されている方など、さまざまな形で在台している日本人たちがいる。

その中には、台湾で起業された方も少なからずいるが、私もそのうちの一人であり、私の場合は、台湾で花文化を普及させるために台湾で起業した。私の会社の主な事業は花屋の運営であるが、いけばなやフラワーデザインの講師、商業空間デザイン、講演会、日台文化交流などさまざまな活動も行っている。そのため、日々多くの台湾人、日本人との交流があるため台湾の経済、政治、文化、流行などの情報にも敏感でなくてはならない。

この記事では、在台の日本人として読者の皆様に役立つリアルな台湾の情報をお伝えできればと思っている。連載の第1回目は、台湾の花事情を簡単にご紹介させていただく。

台湾を代表する花

国によって花文化は大きく異なる。それは、各国の気候や文化や歴史とも深く関わっている。

台湾は1年を通して比較的温暖で多湿な気候であり、冬でも10度を下回る日は少ない。その為、高温多湿な環境で育つ胡蝶蘭の生産地として世界的にも有名である。市場には胡蝶蘭が大量に並び、毎日多くの台湾人が次から次へと買って行く様子を目にする。また、街中でもオフィスやマンションのロビーには大きな胡蝶蘭を飾っているところが多い。台湾人にとって胡蝶蘭は日本人のそれよりも身近な存在であり、台湾を代表する花と言えるだろう。

「花市場内の蘭の倉庫」

台湾の生花の値段

生花に関しては、胡蝶蘭の流通量は鉢物に比べて少ないが、日本同様に様々な生花を市場で購入することが可能である。バラ、トルコキキョウ、ガーベラなど台湾産の花も多く並んでいる。

しかし、日本と大きく異なるのは、ほとんどの花屋やフラワーデザインの講師は輸入の花を多く使う点にある。日本では国産の花は品質が良く新鮮で種類も多いため、輸入の花を買わなくとも、国産の花だけでお客様の注文に基本的には対応することができる。だが、台湾の場合は国土が日本より小さいこともあり、台湾産の花の種類は限られているため、どうしても輸入の花に頼らざるを得ない。

また、台湾の花文化はヨーロッパの影響を強く受けており、オシャレな花をデザインするのであれば、輸入の花に頼るのは必然である。当然、輸入の花は台湾産に比べ高価であるため、結果として生花は日本の価格よりも高くなりがちである。

「花市場の輸入バラ」

 

「花市場内の仲卸の様子」

台湾の花文化

日本では、花を使う機会は一年中あるといっても過言ではない。冠婚葬祭をはじめ、誕生日や発表会、お見舞いや退院祝い、開店や開業祝い、お盆やお彼岸、母の日など、日本人であれば、一度は花を買ったことがあるのではないだろうか。花屋やスーパーで花を買ったことがない方でも、小学生の頃に朝顔を育て観察したり、チューリップの球根を植えたりしたことはあると思う。日本人はもともと自然を愛でてきた歴史があるため、この文化が今も現代の人々に知らず知らずのうちに根付いていると感じている。

一方、台湾でも旧正月やお祝い事の際には花を贈る習慣がある。だが、日本人ほど日常的に花を買ったり贈ったりする習慣は根付いていない。その為、相対的な花屋の数も日本より少なく、日常で花を目にする機会はほとんどない。日本の「花キューピット」(お届け先の近くの花屋さんが直接制作し配達するシステム)のような全国の花屋同士の連携システムも整っていないため、花をどのようにして送ればいいのか分からないお客様も多い。その結果、贈り物のギフトを選ぶ際にも花が選ばれることが少ない傾向がある。

私はこういった課題を解決し、台湾の方々に少しでも花に興味を持ってもらい、花のある暮らしを提案していくために台湾で活動している。花を贈るということは、その行為自体も大切ではあるが、何よりも「花を通して気持ちを伝える」ことが重要であり、その気持ちを届けることが花屋の使命ではないだろうか。

「青空とレインボーカーネーション」

 


 

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