注目ポイント
残念なことに最近台湾では、停電やブレーカーのトリップ等電力システムの問題が続いている。台湾電力は今年4つの計画を立ち上げて785億元を投入した。特に注目すべきは、TSMCの2nm工場に超高圧変電所を建設するための148億ドルのプロジェクトと、TSMCの無停電電源装置(UPS)を将来の変動要因に対応するために、段階的に強化する計画があることだ。
近年、台湾の電力供給が不安定なニュースが頻繁に報道され、台湾電力は護国神山——TSMCの2nmプロセス工場と新竹サイエンスパークの電力供給を安定させるために、148億台湾ドルを投じ、宝山超高圧変電所を建設する見込みだ。また将来、予測できない自然災害や人災に対応するため、無停電電源装置の強化も順次進めている。
TSMCはグローバル半導体製造のリーダーとして、現在、トランジスタ構造の2nmプロセス半導体製造について積極的に準備している。台積電力総裁の魏哲家氏が今年6月にアメリカで開催した「北米技術フォーラム」によると、2nmは2025年に量産を開始する。
TSMCもN3から大幅に改良した2nmプロセスチップ製造にあたり、同じ消費電力で最大10~15%の高速化、または同じ速度で25~30%の低消費電力化を実現し、高性能の新時代を切り開き、業界において大きなアドバンテージを提供することができる。
2nmプロセスチップ新工場は新竹の宝山に、12インチウエハー工場を4つ建設し、Fab20という超大型ウエハー工場になる予定だ。だが、グリーンピース(世界中に拠点がある非政府の自然・環境保護団体)の調査によると、半導体産業は非常に電力消費が多く、TSMCだけで台湾の総電力量の5%近くを使用しており、今年は7.2%まで上昇すると言われている。つまり、「電力の安定供給」がTSMCの命運を握っていると言っても過言ではない。
しかし最近の台湾では、停電、ブレーカーのトリップ等の電力システムの問題が業界を心配させている。「工商時報」の報道によると、電力供給を安定させるために、台湾電力は今年785億台湾ドルを投入し4つの計画を立ち上げた。その中でTSMCの2nmプロセス工場の電力需要に対し148億台湾ドルを投じ、宝山超高圧変電所を建設する。
TSMCでは、宝山超高圧変電所に加え、天災や人災による電力供給不足や停電のリスクを考慮し、長年にわたり多方面からアプローチしている。TSMCの長期計画「ソースの開放とコストダウン」によると、次のステップは無停電電源装置(UPS)の鉛蓄電池をリチウムイオン電池に置き換えることで、2030年までにすべての工場で転換を完了する予定である。
TSMCの無停電電源装置、ソースを開放してコストを抑える
TSMCは電力システム分野では、TRUEWIN、CAEC、Phoenix Sillicon傘下のPhoenix Batteryを含む数社にアプローチしている。近年、エネルギー貯蔵産業が新エネルギーに主導されて異彩を放ち始め、TCC、TEDA、鴻海など新規参入企業も増えている。