注目ポイント
10人に6人はバイクを持っているバイク大国の台湾。通勤ラッシュ時に信号待ちのバイクで道路が埋め尽くされる光景は名物とも言えるほどです。そんな台湾におけるバイクの普及には、日本の企業が密接に関わっていました。台湾のバイク産業発展の歴史、そして電動バイクや女性をターゲットにしたバイクなど、新たな市場の動きを紹介します。
日本の技術を取り込みながら発展した台湾のバイク文化ですが、現在では、台湾独自の技術も広がりを見せています。特に注目が高いのは、Gogoroというメーカーを中心とした電動バイクの登場です。
現在、台湾における電動バイクの販売量は増加しています。電動バイクが浸透した背景には、台湾政府が地球温暖化対策の一環として、国を挙げた環境対策(台湾2050淨零排放路徑)を実施している脱炭素対策の存在があります。
最近では、電動バイクに買い換えると、政府から最大2万7千台湾ドル(2022年9月末のレートで約12万円)の補助を受けることができます。
それでも、2021年の電動バイクの購入台数は、台湾の全体購入台数の10%にとどまっており、台湾政府が掲げる目標の35%に比べて、まだ十分とは言えません。
電動バイクを購入しない理由としては、ガソリン代よりも電気代が高いことや、一般のバイクに比べて修理が不便である、といったことが挙げられています。
ただ、排気ガスによる台湾の空気汚染はかなり深刻で、肺がんの原因にもなっていると推測されています。台湾の肺がん発生率は世界15位、アジアで2位、しかも半数が非喫煙者です。
環境のためだけでなく、自分達の身を守るためにも、今後一層の電動バイクの普及が進むことを期待したいと思います。
(参考:環境資訊中心|去年市佔僅11% 2040全面電動化目標落差大 電動機車產業提建言)
台湾バイクメーカーの新しいターゲットは「女性」
台湾でバイクというと、以前は男性向けのデザインが主流でした。しかし最近では女性をターゲットにした商品が、Gogoro、KYMCO、SYMなどから次々に登場しています。
女性をターゲットとする理由は、台湾の女性の購買力の高さにあります。
台湾では、25~39歳の女性の労働参画率は90%近いうえ、男女の賃金格差の全体平均も15%と、日本の22.5%と比べても、差が小さく、女性がしっかり稼いでいることが証明されています。
では、女性向けと男性向けのバイクには、どのような違いがあるのでしょうか?
台湾メディアの調査によれば、女性がバイクを選ぶ際、最も重視するポイントは「外見」と「安全性」です。そのため、台湾の女性向けバイクは、とってもカラフルで、素敵なデザインのものが多く見られます。

確かに、筆者も洋服を選ぶときには、機能性だけでなく、やはり外見が気に入るかどうか、という点を重視します。バイクが生活の一部である台湾女性にとっては、バイクでもおしゃれを楽しみたい!という感覚があるようですね。