2022-09-23 政治・国際

「チップ法案」が可決後、クアルコムがグローバルファウンドリーズ社と2028年までの長期契約を締結

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注目ポイント

チップファウンドリー大手のグローバルファウンドリーズ社は、IC設計の世界的リーダーであるクアルコム社と協定を結び、5Gトランシーバー、Wi-Fi、自動車とIoTなどのチップ製造協定期間を2028年まで延長し、安定的に業務成長させると発表した。

大手取引先のクアルコムと競合他社のグローバルファウンドリーズ社が、長期契約を結ぶことに対して、TSMCはいまのところコメントを控えている。

業界関係者が「Economic Times」に語ったところによると、アメリカはチップの現地生産を積極的に奨励しており、地政学的な状況下でTSMC、インテル、グローバルファウンドリーズのチップファウンドリー提携を強化する顧客が増えているとのことだ。

しかし、業界関係者も、TSMCの技術が世界をリードしているにも関わらず、今回の取引先の「振替注文」は成熟したプロセスが主体であり、その後の受注のずれやTSMCの収益への影響を注視していく必要がある、としている。また、今回のクアルコムの長期契約は、メディアテックがインテルとの提携を発表した後の大口顧客の暴走とされ、再び業界の不安をかき立てた。

TSMCの財務報告書によると、クアルコムはTSMCの上位5社の顧客の1つとなっている。クアルコムは世界トップ2の携帯電話チップメーカーで、デジタル通信製品の設計、開発、製造、販売に従事している。この事業は、技術をリードする4Gおよび5Gのチップ、システムソフトウェア、開発ツールおよび製品を幅広くカバーしており、その後の事業移行は引き続き重要な課題として業界内でも注目を集めている。

ところが、8日にクアルコムはグロ―バルファウンドリーズのニューヨーク工場に約42億ドルの投入規模を増やすことに合意したと発表。「ロイター通信」は、もともと双方の協議規模は32億ドルだったが、今は74億ドルを超え、日増しに拡大する傾向があると強調した。また、双方は長期契約を締結する最初の顧客の1つであると述べた。

グローバルファウンドリーズは「クアルコムはグローバルファウンドリーズ社のニューヨーク工場の長年の顧客であり、連邦政府と州政府の資金援助とともに、同社の米国における製造拠点の拡大に貢献してきた」と述べている。つまり、TSMC、UMC、VIS等の台湾半導体企業は、成熟したプロセスビジネスにおいて、今後挑戦を受けることになるのだ。

アメリカの「チップ法案」が可決され、世界の半導体産業に大きな影響を与えた。8月8日、IC設計の世界的リーダーであるクアルコムとチップファウンドリのグローバルファウンドリーズは、それぞれの事業期間を2028年まで延長する契約を結んだと発表されたのは8月9日のこと。事業成長を安定させる「長期契約」モデルとなった。


527億ドルのチップ法案により、米国半導体サプライチェーンが具体化

「チップ法案」は半導体メーカーに527億ドルを割り当て、米国の現地でのチップ生産を奨励する予定だ。これらのメーカーにはインテル、TSMC、サムスンなどが含まれており、将来、半導体サプライチェーンの重心はアジアからアメリカに戻り、中国の科学技術の発展を抑制する狙いだ。

トレンドフォースは最近、ファウンドリランキングを発表した。TSMCは依然として1位で、市場の52.1%を占め、次いでサムスンは18.3%、第3位のUMCは約7%、第4位はグローバルファウンドリーズが6.1%で、第5位はSMICの5.2%だった。

その中でも、経済情勢が暗いため、当初インテルは2022年後半にMeteor LakeのtGPUチップセットの製造をTSMCに委託する予定だったと強調したが、その後、製品設計やプロセス検証の問題から2023年前半に延期された。

この動きはTSMCの生産拡大計画に大きな衝撃を与え、2022年後半から2023年にかけての3nmプロセスの第1波の顧客は、MシリーズチップとA17 Bionicを搭載するAppleのみとなる。このため、TSMCは、生産能力が遊休化し、大きなコスト負担の圧力とならないよう、生産拡大のペースを落とすことにした。

ファウンドリーメーカーもさまざまな戦略で経済の変化に対応している。その一つが前述のグローバルファウンドリーズ社とクアルコム社の長期契約だ。

半導体の長期契約が新しいモデルになり、中国製半導体はダメージを受けたが、この「半導体の長期契約」モデルは、今に始まったことではない。今年3月の段階で、IC設計の関係者が、中国のIT情報メディア「集微網」に語ったところによると、UMCはサムスン電子と新たな長期契約(LTA)で、より高い提示額に到達することに成功したという。

UMCは、サムスンの受注の可視性が2025年以降まで延長されたと、関係者は述べている。また「過去5四半期で、UMCの見積もりは連続して大幅に上昇したものの、今年の第1四半期はLTA以外の見積もり増加率が鈍化した」とも述べた。

実際に半導体産業への強制力を調査したところ、長期契約モデルは新型コロナウィルス流行期間の「チップ不足」のため、川下メーカーはチップ不足による供給不足を心配し、工場を閉めてグループ全体の運営に影響を及ぼした。そのため主要なメーカーオーナーは、部品サプライヤーとの契約を積極的に行った。

その中の代表的な例として、日本のモーターメーカーである日本電産は、グループ内の各部門のチップ購入を統合し、より難易度の高い長期契約を獲得し、電気自動車のチップ部品の供給を確保した。また、日本の大手自動車部品メーカーであるデンソーも、長期契約への移行を進めている。

業界関係者は昨年、多くの顧客が供給を確保するために「解約不可」・「返品不可」の長期契約を結んだことを強調した。だが、足元の景気はかなり落ち込んでおり、モータードライバーICやスマートフォン、テレビなどの家電製品はいずれも在庫が高止まりしており、川下の受託生産業界を圧迫している。

注目に値するのは、大手ファウンドリーが長期契約でシェアを確保する中、中国を代表するファウンドリーであるSMICが打撃を受けていることだ。北京に新しく建設された12インチウェハー工場CIM(コンピュータ統合製造)国産化プロジェクトは最近中断され、数百人いたチームも解散させられた。その原因は、このプロジェクトの技術委託先であるサンライズソフトウェア社が、半導体CIMソフトの国産化というSMICの要求を満たせなかったからだ。

「新浪財経」は情報源を引用し、産業用ソフトウェアの開発は結局難しすぎる、特に中国ではまだ始まったばかりだと述べた。しかし、このニュースを受けて、プロジェクトを担当したソフトウェア会社は、SMICの北京プロジェクトは中断しておらず、新型コロナウィルス流行のため遠隔で開発をしているだけだと反論した。いずれにせよ、大手半導体メーカーが積極的に市場を開拓している中で、中国が停滞気味であることは、業界の今後に影響を与えるだろう。


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