2022-09-22 政治・国際

WHOテドロス氏がコロナ禍「終わり視野」 中国ではバス事故から「ゼロ・コロナ」批判

© Photo Credit: Reuters /達志影像 Guiyang 

注目ポイント

WHO(世界保健機関)のテドロス事務局長は先週、新型コロナウイルスによるパンデミックの状況について、「終わりが視野に入ってきた」との見解を明らかにした。また、100万人を超える世界最悪の犠牲者を出した米国のバイデン大統領もパンデミックは「終わった」と発言。その一方、中国では凄惨なバス事故を巡り、ネットユーザーたちが習近平体制の「ゼロ・コロナ」政策に怒りを爆発させている。

WHOのテドロス事務局長は14日の記者会見で、新型コロナウイルスの世界全体の死者数が2020年3月以来の低い水準になったとし、「世界的な感染拡大を終わらせるのにこれほど有利な状況になったことはない。まだ到達していないが、終わりが視野に入ってきた」と述べた。

WHOによると、今月5日から11日まで1週間の世界全体の死者数は前週比22%減の1万935人で、新規感染者数は28%減って約313万人となった。

テドロス氏は、「マラソン選手はゴールが見えてきたからといって立ち止まることはなく、残った力を使って、より速く走ろうとするものだ。この機会を逃してはならない」とし、収束に向けて感染拡大防止の取り組みの継続を訴えた。

米国のバイデン大統領も18日、米CBSの番組「60ミニッツ」とのインタビューで、「パンデミックは終わった。われわれはまだ新型コロナウイルスの問題を抱えている。やるべきことはたくさんある」と強調した。ただ、米政府は現在も新型コロナウイルスを公衆衛生上の緊急事態と位置付けており、WHOの「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」宣言もまだ解除されていない。

バイデン氏の発言に保守派は現行政策との矛盾を非難し、リベラル派は時期尚早だと懸念。医療関係者はマスク着用率やワクチン接種率の低下を招くと指摘する。11月の中間選挙に向けて議論を呼びそうだ。

だが、コロナ禍収束に向けての動きが広がっていることは事実だ。ニューヨーク市のアダムズ市長は20日、コロナ対策として市内の民間企業に課していた従業員へのワクチン接種義務を11月1日から撤廃すると発表した。企業側に従業員の接種について判断を委ねる。

アダムズ氏は、警察官や教師など市職員については当分の間、ワクチン接種義務を残す意向を示した。ニューヨーク市は昨年12月、オミクロン株の流行に備えて企業への接種義務を導入。ワクチン接種を拒んだ従業員の中には解雇されたケースもあった。

また、ニューヨーク州のホークル知事も今月、州内の公共交通機関で約2年半続いたマスク着用義務を撤廃。空港や公共の交通機関でもマスクの着用が不要となった。

そんな中、米CNNによると、中国では18日未明、貴州省の省都・貴陽市からコロナ陽性者47人を乗せて、約250キロ離れた遠隔地の隔離施設に輸送中のバスが山道のカーブで横転。この事故で27人に死亡したことから、政府の「ゼロ・コロナ」政策への不満が爆発している。

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