2022-09-21 政治・国際

彗星のように現れたインド実業界の巨人G・アダニ氏が世界長者番付2位に急浮上

© Photo Credit: Reuters /達志影像

注目ポイント

先週末から世界で最も裕福な人たちの間での激しい順位争いが勃発している。世界長者番付2位の座をめぐり3人の大富豪が激闘を演じ、まるで持ち回りかのように入れ替わっている。この変動は彗星のように現れたインドの億万長者ゴータム・アダニ氏(60)の上位進出によるものだ。世界的にはまだ馴染みのないアダニ氏。一体どのような人物なのか。

ゴータム・アダニ氏。Photo Credit: AP / 達志影像

米経済誌「フォーブス」のリアルタイム億万長者ランキング(株価変動で資産価値が常に増減する)によると、米東部時間19日午後5時の時点で、アダニ氏の総資産が急上昇。世界の〝ブランド帝国〟に君臨するフランスのベルナール・アルノー氏を追い抜き、2位に急浮上すると同時に、米アマゾン創業者ジェフ・ベゾス氏を4位に追いやった。

 

最新ランキングによると、アダニ氏の総資産額は1560億ドル(約22兆3470億円)に上昇し、アルノー氏の1556億ドル(約22兆2897億円)に競り勝ち、それぞれ2位と3位に落ち着いた。一方、2人に押されてベゾス氏は1481億ドル(約21兆2153億円)で4位に転落した。どれを取っても驚異的な資産額だが、イーロン・マスク氏の2771億ドル(約39兆6945億円)には遠く及ばなかった。

 

多国籍コングロマリットであるアダニ・グループの会長として、アダニ氏の企業ポートフォリオは炭鉱、データセンター、空港、再生可能エネルギーに及ぶ。同氏の個人資産は過去1年間で劇的に増加。ちょうど米国のIT大手の価値が、ウォール街の大手企業の多くと同様、軒並み下落したのと同時期だ。

アダニ・グループ。Photo Credit: Reuters /達志影像

 

米紙ワシントン・ポストは、アダニ氏について「知っておくべきこと」として以下のようにまとめた。

 

アダニ氏の富はどのようにして急速に増えたのか?

 

エネルギー価格が高騰し続ける今年、アダニ氏は再生可能エネルギーの分野で足場を固めるため、数十億ドルを注ぎ込んだことから同氏の企業グループの株式は急騰した。さらに、インドを新しいタイプの燃料のハブに変えるというモディ首相の呼びかけに応じ、グリーンエネルギーに多額の投資を計画している。ところが、ふたを開けてみれば、同氏のコングロマリットにとって収益の多くは化石燃料によるものだと米ブルームバーグは指摘。「グリーンウォッシング」の批判を集めている。

 

エネルギー需要が急増し、投資家がアダニ氏のビジネスに群がったため、わずか数か月で同氏の財産は爆発的に増加。2月にはアジアで最も裕福な人物にのし上がった。 「ブルームバーグ・ビリオネア・インデックス」で 初登場14位からスタートしたアダニ氏は、純資産を2倍以上に増やし、投資家ウォーレン・バフェット氏やマイクロソフトのビル・ゲイツ氏など常連の億万長者を追い抜いた。

 

アダニ氏の経歴は?

 

〝アダニ帝国〟は1980年代にプラスチックの輸入ビジネスから始まり、港湾運営と世界貿易に拡大した。傘下の企業は多様化し続け、空港管理から石炭採掘、都市ガス事業などと多岐にわたる。

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