2022-09-20 政治・国際

日本で広告費をかけずに、PR や口コミで有名になった日系企業が台湾進出で陥る罠

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注目ポイント

台湾のテレビにPR効果を期待しても得られる効果は限定的――台湾で起業した日本人経営者による、実体験を交えた現地の特殊なPR事情の紹介とその解決策。

みなさんこんにちは!台湾で2017年に起業し、2022年9月に台湾起業6年目を迎えた applemint 代表の佐藤峻です。

 

今日のこのコラムでは、台湾進出を考えている多くの日系企業が陥る、台湾PRの罠についてお話をしたいと思います。
台湾では PR 効果を狙って、テレビやメディアの取材を受けてもその効果は限定的な場合が多いです。しかし、一部の日系企業は広告費を出す事を嫌がり PR に固執しようとします。

 

その理由は、日本には良い商品や、良いサービスを通して広告費をかけずに PR や口コミで売上を伸ばした企業がたくさんいるからです。

僕は最近3ヶ月間で、そんな日系企業の台湾事業の責任者3人とお話しをする機会があり、そこでわかったのが、3人とも台湾で日本と同様にテレビやその他メディアの PR 効果を期待している事でした。

 

広告費をかけたくない気持ちは痛いほどわかるのですが、台湾では本当に PR 効果は限定的なのです(経験者は語る…)

そこでこのコラムでは、なぜ台湾では PR 効果は限定的なのか、僕の実体験を交えてお話をしたいと思います。

日本であまり広告費をかけずに、口コミや PR、 SNS で有名になった、今後台湾へ進出を考えている日系企業の方に読んで頂ければ幸いです。

 

台湾の特殊なPR 事情:テレビ局は取材したお店や会社名を出さない

最近僕は幸いな事に三立新聞という台湾の大手テレビ局に取材されました。 僕が出演をしたのは『消失的國界』という番組で、割と知られた番組です。

僕がこのコラムを執筆している2022年9月11日時点で、YouTube にアップされた僕が出演した回はすでに30万回以上視聴されており、中々視聴されています。

 

そんな番組に僕は大体30秒から1分ほど出演したのですが、その反響はどうだったかというと…特に何もありません(苦笑)

会社へのお問合せが増えた訳ではありませんし、僕の公開インスタアカウントのフォロワーが急に増えた訳でもありません。

その理由は実際に番組を見て頂くと分かります。

番組では僕のフルネームは出ましたが、会社名は一切出ていません。

 

その理由は、台湾では、法律上テレビ局は、取材先のお店の名前や会社名を出してはいけない事になっているためです。

この番組に僕と一緒に出た僕らの顧客である KARADA factory さんも、テレビ放送後に客が殺到したという話は聞いていません。

これが台湾の PR 効果の現実です。

 

ちなみに、台湾にはテレビプレースメント広告というのがあり、この広告を買うと、番組で商品を取り上げてもらえます。この時はガッツリテレビ番組内で会社名や自社サービス名を言ってもらえます(笑)

 

台湾のケーブルテレビ文化とテレビ視聴者の減少

もしかしたらこのコラムを読んでいる方の中には、「いやいや、たった30秒から1分出ただけだから効果がなかったんでしょ」と、思った方もいるかもしれません。

実は僕は過去に1時間のテレビ番組に二回出演しています。それらの番組も YouTube にアップされていて、残念ながら視聴回数は大したことありませんが、2本の動画の視聴回数を合わせると合計 1万回見られています。

しかも4月21日に出た回に関しては、僕の名前と会社名と、僕の起業のお話までして頂いています。

ではその影響はどうだったかというと…特にありません(苦笑)

放送直後にお問合せが増えた訳ではありませんし、会社名の検索量がものすごく増えた訳でもありません。

 

このように台湾ではテレビではっきり会社名や商品名を紹介されても PR 効果がない場合は多々あります。

ではなぜテレビに出演してもあまり PR 効果がないのでしょうか?

その理由は、台湾のケーブルテレビ文化にあります。

 

台湾ではテレビを視聴するためには基本的にケーブルテレビに加入する必要があります。

台湾のケーブルテレビはチャンネル数が多く、その結果視聴が分散されるのです。

 

そのため、日本のテレビ番組のように視聴率が二桁になることはまずありませんし、今回お話ししたように PR 効果は限定的です。

では、どうすれば台湾で PR 効果を得られるのでしょうか?僕の経験上、PRに繋がったのは SNS での拡散です。

 

解決策:SNS での拡散

日本のテレビが影響力を持っているのは、未だに一定数の方が、最大9チャンネルしかない民放のテレビに集まるためです。

これはつまり人が集まる場所で露出をすれば、 PR 効果がある訳です。

つまり台湾でも、台湾の人が多く集まる場所に露出できれば、PR効果は生まれるという事です。

 

では台湾の人が多く集まる場所はどこかと言えば、SNS です。特にFacebook の影響力は大きいです。

 

僕は現在台湾のメディア『換日線』で定期的にコラムを書いていますが、今年の5月に投稿したあるコラムは大きな反響を呼びました。

換日線が Facebook で僕が書いたコラムを共有した所、瞬く間にバズり、2022年9月現在でその投稿は700 シェア以上されています。

https://crossing.cw.com.tw/article/16270


この投稿後、僕のインスタにはたくさんの DM が来ましたし、会社にもたくさんのお問合せが来ました。 

この前は、初めてお会いした美容院の方に「あのコラムはすごい共感が持てました!」とお言葉を頂きました。

 

従って SNS で商品やサービスを拡散する事が出来れば、台湾で PR 効果はあるでしょう。ではどうすれば SNS で拡散できるか?

僕はコンテンツが鍵だと思っています。コンテンツとはブログコンテンツや動画コンテンツです。

 

しかしながらいいコンテンツを作った所で、初めは誰もフォロワーがいないので中々見られないでしょう。

時間をかけてフォロワーを集めて、徐々に拡散させる事は可能ですが、これはかなり時間がかかります。

 

僕のコラムがバズった理由の一つは、換日線というメディアの Facebook のフォロワーが既に40万人いたためだと思います。

 

そこで僕は、台湾でいち早く軌道に乗りたい企業には SNS 広告をして、フォロワーを増やす事をお勧めします。しかし、広告費をかけずに日本で有名になった企業は、この時に SNS 広告に対して否定的な立場を取ることが多いです。

 

広告費をかけずに地道にフォロワーを増やす事は可能ですが、その場合かなりの時間と質の高いコンテンツを頻繁に投稿する必要があります。

しかしそれを嫌がり、日本で成功したようにいいサービスを提供していればいつか取り上げられると期待し、台湾に進出後、いつまで経っても台湾で認知度が上がらない会社は多くあります。

 

また、台湾側の責任者が台湾におけるPR 効果が限定的な事に気づいて広告費をかけようとしても、日本の本社が広告に GO サインを出さないケースもあります。

これが今回お伝えしたかった、日本で有名な会社が台湾で陥る PR の罠です。

 

台湾進出はこうしたメディアの環境もあり、短期間で軌道に乗りたいのであればそれなりに投資が必要、というのが僕の持論です。

今後台湾に進出する日系企業や、すでに進出してこの罠に陥っている企業の参考になれば幸いです。

 

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