2022-09-16 ライフ

映画「バズ・ライトイヤー」同性同士のキスシーンが各国で禁止に主役の声クリス・エヴァンス「多文化主義に反対する者は“バカ”だ」

© AP/TPG Images

注目ポイント

ピクサーの人気アニメ映画「バズ・ライトイヤー」が全世界で公開されている。ところが最近、この映画にゲイやレズビアンの内容が含まれていることから、多くの保守的な国々が神経を尖らせているようだ。

同性愛者問題で話題になったアニメ映画「バズ・ライトイヤー」は、中東や東南アジアの多くの国で上映禁止になってる。ロイター通信によると、主人公バズ・ライトイヤーの声を担当するクリス・エヴァンスはこの問題に対し「多文化主義に反対する観客は“バカ”で、いずれ恐竜のように絶滅するだろう」と公式に反論したという。

 

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同映画のロンドンプレミアに登場したクリス・エヴァンス


バズ・ライトイヤーのゲイ・アジェンダ

しかし、シリーズの人気キャラクターであるバズ・ライトイヤーは、スピンオフ作品として、今年6月にキャプテン・アメリカのクリス・エヴァンスが声を担当する初の単独映画が公開されることが決定している。

ディズニーが世界の大スクリーン市場の獲得に向けて準備を進める中、中東ではレズビアンのキスシーンがイスラム教徒とイスラム教を侮辱しているとして、「バズ・ライトイヤー」の公開が禁止された。

女優のウゾ・アドゥバが声を担当するスター・コマンドの指揮官アリーシャ・ホーソーンは、パートナーの女性と家庭を築き、あいさつにキスをする姿が描かれている。 だが、このシーンは中東で禁止される前に、すでにディズニーによって削除されており、ピクサーのアニメーターが抗議し復活した。

ピクサーのアニメーターたちは、ディズニーの幹部が作中の露骨な同性愛の削除を要求しかけたといい、ピクサー社員は文書で「私たちはピクサーで、さまざまなキャラクターが登場する美しい物語を見てきたが、ディズニー幹部からのフィードバックは、これらのキャラクターのかつての姿を削り取っていった」とまで指摘している。 LGBTQIA+のコンテンツを作ることは、世界の差別的な法律に対する答えだが、それに関するコンテンツを作ることを禁止されている。

当時は大きな話題となり、結果的にこの戦いが「バズ・ライトイヤー」の同性愛シーンを救ったのだ。

 

「バズ・ライトイヤー」に登場する同性家族

もちろん、同性同士のキスシーンは、ディズニー幹部の了解を得て、アメリカをはじめ世界中で上映が許可されたとはいえ、国によっては、このシーンが登場すると、映画全体が禁止されることになる。

特に中東では、同性間の恋愛に保守的な傾向があるため、それを全面的に禁止している。サウジアラビアでは審査に通らないとして、ディズニーは「バズ・ライトイヤー」を送り込むことすらしなかった。

しかしアラブ首長国連邦では、他の中東諸国のように同性同士の恋愛は合法ではないものの、その情景は比較的緩やかである。そのため、「バズ・ライトイヤー」はよりリベラルなアラブ首長国連邦に審査依頼が出された。 当初は公開許可が下りていたが、ディズニーとバズ・ライトイヤーがイスラム教徒やイスラム教を侮辱していると見なされたことが明らかになり、急きょ許可が取り消された。

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